【為替本日の注目点】ミシガン大学消費者マインドは悪化し、インフレ期待は上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
前日133円台後半まで売られたドル円は急反発。ミシガン大学消費者マインドで長期期待インフレ率が12年ぶりの高さだったことがドル買いにつながる。ドル円は135円76銭まで上昇。ユーロドルでもドル高の流れが続く。ユーロは一時1.0848まで売られ、約1カ月ぶりの安値に。株式市場は3指数が揃って続落。債務上限問題に進展が見られず、米景気はすでにリセッション入りしているとの観測も重荷に。債券は反落。長期金利は3.46%台に上昇。金と原油はともに3日続落。
マーケット情報
4月輸入物価指数 → 0.4%
4月輸出物価指数 → 0.2%
5月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 57.7
ドル/円 134.72 ~ 135.76
ユーロ/ドル 1.0848 ~ 1.0897
ユーロ/円 146.66 ~ 147.37
NYダウ -8.89 → 33,300.62ドル
GOLD -0.70 → 2,019.80ドル
WTI -0.83 → 70.04ドル
米10年国債 +0.078 → 3.463%
本日の注目イベント
欧 3月鉱工業生産
欧 欧州委員会春季経済予測
米 5月NY連銀製造業景況指数
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、金融市場関連会合の冒頭で挨拶
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
加 4月住宅着工件数
ドル円は11日の133円台後半を底値に急反発。東京時間からジリ高が続き、NYでは5月のミシガン大学消費者マインド速報値で、5-10年先のインフレ期待が「3.2%」と、12年ぶりの高水準だったことで、ドル買いが加速しました。景気が後退する中、インフレが加速することで「スタグフレーション」に陥るリスクも意識されドルが買われた一方、株と債券は売られています。
米債務上限問題を巡っては目立った進展は見られないものの、バイデン大統領は「まだヤマ場には差しかかっていないが、われわれ全員がなし得る幾つかの変更について真の議論が行われている。しかし、まだそこまでは到達していない」と述べています。前FRB副議長で、米国家経済会議(NEC)のブレイナード委員長も14日、デフォルトを回避するためバイデン政権のスタッフとマッカーシー下院議長の側近らとの話し合いは継続的に行われているとした上で、「その関与は真剣で建設的なものと位置付けている。(デフォルトになれば)自動車や住宅ローン、中小企業やさらには連邦政府の借り入れコストの上昇につながるため、最も重要なことは議会がデフォルト回避の基本的な責任を果たすことだ」と、CBSの番組で語っています。イエレン財務長官は新潟市の会見で、「連邦政府の債務に関してデフォルトにどの程度近づいているのか、2週間以内に米議会に最新情報を提供する」と話していましたが、米財務省は12日に、連邦政府債務上限到達後も支払い履行など、資金をやりくりしてきた「特別措置」について、今月10日時点であと880億ドル(約11兆9400億円)しか残されていないことを明らかにしています。(ブルームバーグ)同資金は1週間前の1100億ドルから減少しており、6月1日には「Xデー」が到来するとも言われています。今週19日から開催される「G7広島サミット」への参加が懸念されていたバイデン大統領は、「17日に米国を出発しサミットに参加する」と、ホワイトハウスは発表しています。明日にはマッカーシー下院議長との会談を行い、ある程度の妥協をする中で「合意」を取り付ける目算があるのかもしれません。
ジェファーソンFRB理事は講演で、「3月に予想に反して下落した中古車価格を除いては、コア物価のディスインフレは想定よりも緩やかなペースで起きている。金融政策は経済とインフレに長期かつ様々な時間差を伴って影響を与えるもので、われわれの急速な引き締めの十分な効果は依然としてこれから表れる公算が大きい」と語っています。ジェファーソン理事はこの講演で数時間前に、バイデン大統からFRB副議長に指名されています。また、同理事の後任には経済学者のアドリアナ・クーグラー氏が理事に指名され、議会の承認を得れば、FRB109年の歴史の中で初のラテン系政策担当者になると紹介されています。クーグラー氏はUCバークリーで経済学の学位を取得し、ジョージタウン大学などで教鞭をとった53歳の経済学者です。これで、FRB7人の執行部のうちボウマン理事、クック理事に次ぎ3人目の女性幹部ということになります。
米経済のリセッション入りが意識されています。1-3月期決算が終盤を迎える中、ブルームバーグによると、S&P500を構成する企業の利益は平均で前年同期比3.7%減少したとされています。78%の企業が市場予想を上回ったものの、決算発表前にアナリストが予想を下方修正していたことを踏まえると、実際にはそれほど良好な決算ではないとし、さらに2四半期連続で米企業の業績が悪化したことが、極めて重要な点だと指摘しています。その上で、「米経済がリセッションの瀬戸際になる中、ウォール街がすでに、過去7年間で最も長期化する恐れのある企業収益の悪化に直面している」と報じています。
ドル円は依然として133-137円のレンジ相場が続いています。135円台後半まで上昇したことから再びチャート上では買い方有利の形状に戻っています。16日はバイデン大統領とマッカーシー下院議長との会談が再び行われるようです。筆者は、債務上限引き上げで「合意」する可能性が高いとみていますが、そうなると株と債券が買われ、金利低下にともなってドル円は下落する公算が高いようにも思えます。
本日のドル円は135円~137円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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