トライトが新規上場、笹井英孝社長に聞く

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2023/7/24 9:00

 24日、医療福祉業界向け人材サービスとデジタルソリューションを展開するトライト(9164・グロース、サービス)が新規上場した。介護、看護、保育の人材サービス領域でトップクラスのシェアを握る有力企業であり、株式市場の注目を集めた。笹井英孝社長=写真=に成長戦略などを聞いた。

 ――医療福祉分野でキャリアアドバイザー型人材紹介、派遣サービスを展開している。高シェアが特徴だが、御社の強みを教えてほしい。

 「1人のキャリアアドバイザーが法人、求職者の双方を担当する、一元管理体制が特徴であり、強みだと思っています。業界ではスピード重視の即戦力採用を行うケースが多いのですが、われわれはスピード感を持ちつつも、それぞれ法人の企業文化、職場の雰囲気などを加味したマッチングを行っています。それが採用後の定着率などにつながっており、その実績が現在のシェアに結び付いていると考えています」

 ――人材需要の旺盛な業界であり、ビジネスの環境は良好にみえる。ここまで年間20%程度の売上高成長となっているが、今後の成長イメージを教えてほしい。

 「医療福祉分野は、国内の全職種を高水準で上回る求人倍率となっており、超高齢社会の進展などを背景に、人材紹介ビジネスにおける好環境は今後も継続していくと考えています。また、コロナ禍を経て、顧客の業務効率化への意識が高まっており、省力化で人手不足を補うシステムをつくるためのICT投資の需要が高まっています。当社のICTソリューションビジネスは、IT人材のアウトソーシング支援、介護施設の経営支援ソフトの導入支援などを手掛けており、今後は一層、需要が高まっていきそうだと思っています」

 「今後も年間20%程度の売上高成長を継続していけると考えており、ICTソリューションに加え、地方での人材支援の拡充も成長ドライバーになるとみています。これまで地方では地縁・人縁などによる採用で人材を賄うケースが多くあったのですが、足元の人手不足で人材サービスへの関心が高まっています。地方進出を積極的に行ってきましたが、今後はより重要度が増すと考えています」

 ――2021年、22年、23年に計3件のM&A(企業の合併・買収)を行っている。

 「21年に取得したHAB&Co.はAI(人工知能)を活用したダイレクトリクルーティングプラットフォームを開発する企業。23年買収のブライト・ヴィーは介護医療向けICTプラットフォームの開発を行う企業。ともに技術力の高い企業であり、当社グループにとって目先の規模拡大のためのM&Aではなく、投資的な意味合いが強いM&Aだと考えています。ICT分野強化、新技術の取り込みなどを目的としたM&Aは今後も積極的に行っていきたいと考えています」

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