【為替本日の注目点】ドル円一時145円を割り込む

為替

サーチナ

2023/8/21 10:30

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は下落。およそ5日ぶりに145円台を割り込み、144円93銭まで売られる。ジャクソンホール会議を前にしたポジション調整か。ユーロドルも小幅ながら続落。1.0845まで売られ、こちらは約1カ月半ぶりの安値を付ける。株式市場はまちまち。ダウは反発したもののナスダックとS&P500は続落。債券は反発。長期金利は4.25%台に低下。金は10営業日ぶりに反発。原油は続伸し再び81ドル台に。

マーケット情報

ドル/円 144.93 ~ 145.76

ユーロ/ドル 1.0845 ~ 1.0881

ユーロ/円 157.65 ~ 158.22

NYダウ +25.83 → 34,500.66ドル

GOLD +1.31 → 1,916.50ドル

WTI +0.86 → 81.25ドル

米10年国債 -0.020 → 4.255%

本日の注目イベント

韓 米韓軍事演習(31日まで)

独 独7月生産者物価指数

 先週17日(木)には146円56銭まで買われたドル円は、今週末の「ジャクソンホール会議」を前に、NYではポジション調整のドル売りが優勢な展開だったようです。ドル円は一時145円を割り込み、144円93銭までドル売りが進みました。

 先週末に発表された日本の7月の消費者物価指数(CPI)は総合で「3.1%」と、前月よりは伸びが縮小していましたが、これで「3%超え」は11カ月連続です。生鮮食品を除くコアCPIは「3.1%」と市場予想通りでしたが、電気代が「16.6%減」と前月から大幅に下落しています。またコアコアCPIも「4.3%」と市場予想と一致していましたが、伸び率の拡大は2カ月ぶりで、1981年以来の高水準だった5月と同水準でした。7月のCPIを受け、市場では日銀の金融政策に対するプレッシャーがさらに増すと予想されており、ドイツ証券は、「『依然として2%の目標の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っていない』と主張しながら現在の『長短操作付き量的・質的金融緩和』の継続スタンスを強調し、目途に格下げされた筈の0.5%を意識しながら臨時オペ等でYCC下の金利上限を画する姿勢を示し続けるのであれば、せっかく1%にまでYCC運用を柔軟化した政策修正は即効性を失ってしまう。このようなスタンスを日銀が維持する限りは、海外金利が低下して内外金利差が縮小するという『神風』が吹かない限り、おそらく円は反発できない」とのコメントを発表しています。まさに正鵠を射ており、「年後半には2%を割り込む」とする日銀の想定も修正を迫られる可能性が高くなりそうです。

 米国ではマウイ島の大惨事の原因の一つにハリケーンがあったことが指摘されていますが、米西海岸でもハリケーン「ヒラリー」が勢力を強め5段階で2番目に強い「カテゴリー4」となり、カリフォルニア州に向かって北上しています。カリフォルニア州のニューサム知事は、「ヒラリーは州史上、最も雨量の多い熱帯低気圧となる可能性あり、北上に伴い住民は備えが必要だ」と呼び掛けています。(ブルームバーグ)

 今週最大の注目は何と言っても25日のジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演です。順調に低下傾向を見せていた米インフレが7月のデータでは再び「上昇気配」を見せたことで、債券が売られ金利が大きく上昇。長期金利は先週17日には一時4.3%台まで上昇し、ドル円を押し上げる原動力になりました。さらに政策金利引き上げが必要になるのか、あるいはインフレが引き続き低下傾向を維持し9月会合では政策金利を据え置くことが出来るのかという点が焦点になります。あくまでもデータ次第ではありますが、パウエル議長がどのような認識を示すのか、今年後半の相場展開に大きな影響を及ぼします。講演は日本時間25日午後11時5分から開始されます。またパウエル議長の陰に隠れて余り注目されていませんが、植田日銀総裁も初めて同会議に参加します。講演があるかどうかは現時点では定かではありませんが、パネル討論に参加する可能性はありそうです。詳細が判明した際には本リポートでお知らせしたいと思います。

 本日のドル円は144円50銭~146円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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