【為替本日の注目点】米長期金利15年9カ月ぶりに4.35%台に

為替

サーチナ

2023/8/22 10:09

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円はあっさり146円台を回復。米10年債利回りが一時4.351%台まで上昇したことでドル買いが再燃。ドル円は146円40銭まで買われる。ユーロドルはほぼ前日の水準と変わらず。株式市場は米金利が上昇したものの、ナスダックが200ポイントを超える上昇。エヌビディア株が上昇をけん引する。債券は大幅に反落。長期金利は4.351%台まで上昇し、4.33%台で引ける。金は続伸、原油は反落。

マーケット情報

ドル/円 145.83 ~ 146.40

ユーロ/ドル 1.0876 ~ 1.0912

ユーロ/円 159.00 ~ 159.39

NYダウ -36.97 → 34,463.69ドル

GOLD +6.50 → 1,923.00ドル

WTI -0.53 → 80.72ドル

米10年国債 +0.083 → 4.338%

本日の注目イベント

日 日銀、基調的なインフレ率を補足するための指標

欧 ユーロ圏6月経常収

英 英4-6月期GDP(確定値)

米 7月中古住宅販売件数

米 8月リッチモンド連銀製造業景況指数

米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、イベントで開会の挨拶

 先週末のNYでは一時144円93銭まで売られたドル円はわずか「一夜」にして146円台半ばを回復しています。米長期金利が2007年11月以来となる4.35%台まで上昇したことに反応したものですが、改めて「米金利との強い相関」が意識された形です。その根底には「動かない日銀」の存在が大きく影響しており、再び円売りがドル以外の通貨にも及んできた格好です

 今週末にはジャクソンホールでパウエル議長の講演を控えていることから、それまでは静かな動きが続くと予想していましたが、円に関してそうではないようです。債券が売られ、金利が上昇したということは、市場は「パウエル議長のタカ派寄り」の発言を想定していることになります。この点では筆者も同様に考えていますが、市場が先走ると案外想定外の発言も出て来るかもしれません。金利が大きく上昇した割には、米ナスダック指数は大きく値上がりしています。このところ下落傾向が続いていたこともありますが、昨日はエヌビディア株が8%を超える上昇を見せ、IT株全般の上昇をけん引しています。同社は明日(23日)決算発表を行う予定で、前年同月比で65%の増益が見込まれているようです。また、ソフトバンクグループ傘下の英アームが21日、新規株式公開(IPO)を米証券取引委員会(SEC)に申請したことも株価の上昇に好影響を与えたようです。9月の第1週にロードショーを開始し、次週にIPO価格を決定する方針で、アームの企業評価額は600億ドル―700億ドル(約8兆8000億円―10兆2400億円)規模を目指すとブルームバーグは報じています。今年最大のIPOになる予定だそうです。

 サンフランシスコ(SF)連銀の経済論評がおもしろい報告をしています。米金融当局者の金利予測が以前ほど一致していないというものです。FOMCメンバーが予側するドットプロット(金利予測分布図)を分析したところ、メンバーの見解の相違は2010年代に縮小し、パンデミックの初期には「ほとんど存在しなかった」が、「しかしそれ以降、相違は拡大した」と報告されています。同論評によると、2018年2月にパウエル氏が議長に就任して以来、反対票を投じた当局者は延べで13人に過ぎず、そのうち、22年3月の利上げ開始以降ではわずかに2人だそうです。現在は今後の金利の道筋を巡る政策当局者の意見の相違が拡大しており、今後はより激しい議論や反対票の増加につながる可能性があるとSF連銀は指摘しています。経済がよりグローバルになり、景気変動の波を正確に捉えることが一段と難しくなったこともありますが、発表されるデータの裏側まで読み解く必要があるのかもしれません。足下の労働市場が、政策金利をゼロから5.5%まで引き上げたにもかかわらず、驚くほど堅調に推移している現象もいい例と言えます。

 再び146円台半ばまで上昇してきたドル円ですが、今日の東京時間では上値は重いと見ています。ただ、先週記録した今年のドルの最高値である「146円56銭」をしっかりと上抜けするようだと、もう一段の上昇もないとは言えないところです。特にNY時間では米金利の推移に注意が必要です。

 本日のドル円は145円~147円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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