【為替本日の注目点】ユーロドル2カ月ぶりの安値に

為替

サーチナ

2023/8/23 10:14

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は反落。前日のNYでは長期金利が上昇したことで146円40銭まで買われたドル円は東京時間でも上値は重く、NYでは145円71銭まで下げる。ジャクソンホールを巡る思惑が交錯。ユーロドルは水準を切り下げ、1.0833まで売られる。株式市場では金利の高止まりを背景にまちまちの展開。ダウは続落し、ナスダックは小幅ながら続伸。債券は小幅に反発。長期金利は4.32%台に低下。金は3日続伸し、原油は続落。

マーケット情報

7月中古住宅販売件数 → 4.07万件

8月リッチモンド連銀製造業景況指数 → -7

ドル/円 145.71 ~ 146.13

ユーロ/ドル 1.0833 ~ 1.0890

ユーロ/円 158.08 ~ 158.82

NYダウ -174.86 → 34,288.83ドル

GOLD +3.00 → 1,926.00ドル

WTI -0.37 → 80.35ドル

米10年国債 ―0.014 → 4.324%

本日の注目イベント

独 独8月サービス業PMI(速報値)

独 独8月総合PMI(速報値)

欧 ユーロ圏8月消費者信頼感指数

欧 ユーロ圏8月製造業PMI(速報値)

欧 ユーロ圏8月サービス業PMI(速報値)

欧 ユーロ圏8月総合PMI(速報値)

英 英8月製造業PMI(速報値)

英 英8月サービス業PMI(速報値)

米 7月新築住宅販売件数

米 8月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)

米 8月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)

米 8月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)

米 企業決算 → エヌビディア

加 カナダ6月小売売上高

 今週末のジャクソンホールでのパウエル議長の講演を巡って思惑が交錯し、前日には146円台半ばまで上昇したドル円は145円台後半まで押し戻されてきました。どうやらパウエル議長の講演内容を確認するまでは先週記録した「今年のドルの最高値である146円56銭」を上回る可能性は低いと見られます。ただ一方では、米金利が高止まりしていることもあり、ドルが大きく下落する可能性も低いようです。

 米長期金利の上昇が続いていますが、昨日のアジア時間には米債券先物が売られ、10年債利回りは一時4.61%台まで上昇する場面がありました。一方で、日本の10年債の利回りも「低水準ですが」昨日は0.665%近辺まで上昇し、およそ9年半ぶりの高水準を付けました。植田日銀総裁が岸田首相と会談したことが伝わり、「YCC修正への圧力」との思惑も働き円債が売られたものです。その後植田総裁は、首相から「経済金融情勢のいろいろな側面についてご質問があり、私の方でお答えした」と説明しています。また、為替相場の変動を巡る議論については「今日は特にございません」と答え、首相との間で為替についての話はなかったと説明しています。円金利が上昇したことで、ドル円も146円台を割り込む動きにつながったようです。

 7月のFOMC議事録が先週公表されましたが、FRBが22日に発表した公定歩合議事録要旨では、12地区連銀のうち2つの連銀理事会が「7月の公定歩合の据え置きを支持していた」ことが判明しました。7月のFOMC会合では「全会一致」で0.25ポイントの利上げを決めましたが、NY連銀とアトランタ連銀の理事会では「据え置きが支持された」とありました。筆者も、地区連銀の理事会の詳細を知ったのは今回が初めてですが、上記2地区連銀では理事会の総意と地区連銀総裁の見解が異なっていたことになります。ブルームバーグはこの記事で、「各地区連銀理事会の要請は連銀総裁がそうした立場を支持していたことを必ずしも意味しないが、連銀総裁の見解が連銀理事会のものと合致することはしばしばある。今回明らかになった公定歩合に関する要請は、先週発表されたFOMC議事要旨で示された当局内の見解の相違をあらためて裏付けすることとなった」とし、「FOMC内が完全に一枚岩でなくなりつつあることも浮き彫りになった」と報じていました。

 岸田首相は昨日、東京電力HD福島第一原子力発電所で保管されている処理水を24日に海洋に放出することを決めましたが、これに対して中国は強く反発しています。中国の外務次官は日本の垂秀夫在中国大使を呼び出し、「誤った決定を撤回し、責任ある方法で処理水に関する処置を行うよう」要請しています。また中国は日本が処理水を放出した後、海洋環境と食品の安全、公衆衛生を守るために必要な措置を講じる」と警告しています。IAEAが処理水の安全性を認めたことで、一気にこの流れが加速しましたが、地元福島の漁業関係者などの反対意見を押し切った格好です。中国政府の意向が強く反映される香港は、すでに福島県だけではなく、東京都も含む10都県からの水産物を24日から輸入を禁止することを発表しています。

 円安と原油価格の上昇からガソリン価格の高騰が続いていますが、レギュラーガソリンは1?180円を超え、185円に迫ろうとしています。政府は9月末で切れる補助金の延長を検討するそうですが、補助金があってこの価格です。10月以降補助金がなくなったら一体いくらになるのか車を頻繁に運転する人にとっては頭の痛い話ですが、少なくとも来年3月末までは延長してほしいものです。政府は同時に9月に向けて全般的な経済対策を検討することも発表しています。レギュラーガソリンの価格は200円になると指摘する専門家もあり、これ以上ガソリン価格が上昇すると、EVの普及が圧倒的に遅れている日本では物量コストの増加につながり、CPIの2%割れが遠のくことになります。

 本日のドル円は145円~146円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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