来週の東京外国為替市場見通し=日米金融政策のスタンスを比較する展開続く

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2023/9/29 16:47

予想レンジ:1ドル=147円50銭-151円50銭

 9月25-28日のドル・円は上昇した。週初25日に大阪市内で開かれた植田和男日銀総裁の会見がハト派寄りと捉えられ、円安が持続。26日は、鈴木俊一財務相の円安けん制発言がドル・円の上値を抑えた。27日、原油先物価格の急伸や、米政府機関の閉鎖リスクが懸念される中で米長期金利が上伸し、ドル・円を押し上げた。28日、鈴木財務相の再度の円安けん制発言で円買いとなったほか、同日発表の米4-6月期GDP(国内総生産)確報値が市場予想を下回り、ドル・円は下押しした。

 直近のFOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利は据え置かれたものの、年内追加利上げの可能性が示唆されたほか、FOMC参加者による24年末時点の政策金利予測が引き上げられ、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め長期化観測が勢いを増している。一方で日銀は金融緩和策の目先的な修正観測を退けており、日米金融政策の方向性の違いが意識されやすい状況にある。日本の当局による為替介入への警戒が上値を抑える可能性はあるが、ドル・円は当面、強含みの推移が続きそうだ。

 9月29日発表の米8月PCE(個人消費支出)コアデフレーターや、米議会での新年度予算をめぐる審議のゆくえを確認した後、週明け以降は米9月ISM(供給管理協会)製造業景況指数、米9月ADP(オートマチック・データ・プロセッシング)雇用統計、米9月ISM非製造業景況指数、米8月貿易収支、週末に米9月雇用統計と、重要経済指標の発表が相次ぐ。日本でも30日に日銀の植田総裁の講演が予定されるほか、週明けに直近で開催された日銀金融政策決定会合の「主な意見」の公表や、9月調査の日銀短観の発表が予定され、日米の金融政策を見極める動きが一段と強まる。その他、インフレ警戒感を高める一因となっている原油先物価格の動向や、米長期金利の反応に注意したい。

 ドル・円はチャート上で、22年10月に付けた高値151.93円を意識した展開。下方向では、25日移動平均線(9月28日基準)147.39円近辺がサポートラインとなる。

提供:ウエルスアドバイザー社

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