【為替本日の注目点】WTI原油価格急反発

為替

サーチナ

2023/10/10 10:21

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円はじり安となり148円44銭まで売られる。FOMCメンバーが追加利上げには慎重な見方を示したことが背景。ユーロドルは小幅に上昇。米債券市場が休場だったこともあり、値動きは限られた。株式市場は3指数が揃って続伸。債券市場はコロンブスデーのため休場。金と原油は中東情勢の悪化を受け続伸。原油はハマスとイスラエルの戦闘に急騰し86ドル台に。

マーケット情報

ドル/円 148.44 ~ 149.18

ユーロ/ドル 1.0525 ~ 1.0572

ユーロ/円 156.51 ~ 157.20

NYダウ +197.07 → 33,604.65ドル

GOLD +19.10 → 1,864.30ドル

WTI +3.59 → 86.38ドル

米10年国債 ------ → 4.801%

本日の注目イベント

豪 豪10月ウエストパック消費者信頼感指数

豪 豪9月NAB企業景況感指数

日 8月国際収支・貿易収支

日 9月景気ウオッチャー調査

米 IMF世界経済見通し

米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

米 ウォラー・FRB理事講演

米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、タウンホール・ミーティングに参加

米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演

 ロシアとウクライナの戦争にばかり気を取られていましたが、中東情勢の不安定さが再び混乱を引きおこしています。パレスチナ自治区ガザで実効支配するイスラム過激派ハマスとイスラエルの戦闘が3日目に入り、双方の死者は合わせて1500人にも上ると報道されています。死亡者の中には米国人が11人もおり、「ハマスの人質になっている米国人も複数いる可能性が高い」とバイデン大統領は話しています。この戦闘の勃発に原油価格が急騰していますが、イスラエルが攻撃されたことによる原油価格への影響はそれほど大きくはないと見られていますが、その後ろにはイランと米国の存在があり、両国を巻き込む可能性があることが原油価格を押し上げているようです。また、ドル円もその影響からやや円が買われる展開になっています。もっとも、円がやや買われた背景にはFOMCメンバーの2人が追加利上げには慎重な見方を示したことも影響したようです。

 先週末に発表された「9月の雇用統計」の結果はサプライズでした。失業率は市場予想の「3.8%」と一致していましたが、非農業部門雇用者数(NFP)が予想を大きく上振れしており、その数字は市場参加者にはサプライズでした。ただ数字の割にはドルの上昇は限定であったと言えます。9月の市場予想「17万人」に対して結果は「33.6万人」と大きく伸びており、8月分も速報値の「18.7万人」から「22.7万人」に上方修正され、さらに7月分についても「15.7万人」から「23.6万人」に上方修正されました。この結果、直近3カ月の平均でも「26.6万人」と、「20万人」の伸びがあれば好調だとされる米労働市場の底堅さを改めて知らされた格好です。「雇用市場が驚くほどの力強さを保っていることは、企業が売上高見通しに引き続き自信を持っていることを示唆する。雇用のペースは昨年以降に鈍化しているものの、その底堅さは家計支出および広範な経済の強さの重要な源泉であり続けている」(ブルームバーグ)と分析され、今回の雇用統計の結果を受け今月末のFOMCでの追加利上げ観測が一段と強まった印象です。ただ、それでも先週も触れましたが、FOMCメンバーの中では利上げを見送るべきだとする「ハト派」の仲間が徐々に増えてきているのも事実です。ダラス連銀のローガン総裁は全米企業エコノミスト協会(NABE)での講演で、「タームプレミアムが上昇すれば、それが経済の沈静化に向けた金融当局の仕事を一部肩代わりし、当局として政策を追加で引き締める必要性が低下する可能性がある」と述べています。また講演後の質疑応答では、「われわれはまだやるべき仕事がある。景気抑制的な金融環境はしばらく必要になると考えられる」とも発言しています。また、同じ会合でジェファーソンFRB副議長は、「米金融当局は、必要となり得る追加的な政策引き締めの程度を見極める上で、慎重に進むことができる立場になりつつある」と述べています。

 ドル円はやや上値が重くなった印象です。日足の一目均衡表では特段大きな変化は見られませんが、「4時間足」までの短い足ではすでに「雲の下抜け」を完成させていることには注意が必要です。また、日足のMACDでは「デッドクロス」の形が鮮明に形成されています。ただし、依然として「プラス圏」でのクロスです。この辺りをどのように判断するのかが、のちのち重要になってきそうです。

 本日のドル円は147円50銭~149円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ