【為替本日の注目点】ドル円は157円台を回復

為替

サーチナ

2024/5/24 10:40

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円の上昇は止まらず、NYでは157円台に乗せ、157円19銭まで上昇。5月のPMIが予想を超える上昇を見せたことで、利下げ観測がさらに後退。ユーロドルはやや水準を下げたが1.08台で推移。ドル円で円が売られたことでユーロ円も170円台前半まで上昇。株式市場は3指数が大幅安。ダウは600ドルを超える下げを記録。インフレの加速が再燃するとの懸念からほぼ全面安の中、エヌビディアは大幅に上昇。債券は続落し、長期金例は4.47%台に上昇。金利の上昇を受け金は55ドルも売られる大幅安。原油も4日続落。

5月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 50.9

5月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 54.8

5月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 54.4

新規失業保険申請件数 → 21.5万件

4月新築住宅販売件数 → 63.4万件

マーケット情報

ドル/円 156.53 ~ 157.19

ユーロ/ドル 1.0805 ~ 1.0861

ユーロ/円 169.48 ~ 170.22

NYダウ -605.78 → 39,065.25ドル

GOLD -55.70 → 2,337.20ドル

WTI -0.70 → 76.87ドル

米10年国債 +0.05 → 4.477%

本日の注目イベント

日 4月消費者物価指数

独 1-3月期GDP(改定値)

英 4月小売売上高

米 4月耐久財受注

米 5月ミシガン大学消費者マインド(確定値)

米 ウォラー・FRB理事講演

加 3月小売売上高

 「PMI]は市場が注目する指標ではありますが、昨日の様に、これほど相場を動かす震源地になったことは、ほとんど記憶にありません。5月のPMIは「総合」で「54.4」と、2022年4月以来およそ2年ぶりの高水準でした。その他、「製造業」も「サービス業」指数も全て市場予想を大きく上回り、インフレ加速の再燃を懸念する声が相次ぎました。S&Pグローバル・マーケットの担当者は、「興味深いのは、インフレの主な原動力が今やサービス業よりも製造業がもたらしていることだ。米金融当局の目標であるインフレ率2%に向けたラスト1マイルは依然として達成が見えにくい状況であることを示している」と指摘しています。

 同指標の発表を受け、株式と債券が売られ、金利上昇に伴いドル円は157円19銭までドル高が進みました。ユーロなど他の主要通貨もドルに対して売られましたが、円程大きくは売られていないことで、ユーロ円は170円30銭台、豪ドル円も104円台前半まで買われ、まさに「円全面安」の展開でした。ドル円はこれで、今回の下落幅の「61.8%戻し」を達成しています。一方NYダウの下げはきつく、昨日は600ドルを超える下げとなっており、ここ2日で800ドルを超える下げに見舞われています。そんな中、昨日の日本時間朝方に好決算を発表した米半導体大手エヌビディアは9%を超える上昇を見せていました。日米ともに株式市場のボラティリティーの高さが目立っています。

 昨日もセミナーがありテクニカルの説明を行いましたが、ドル円の上値は重そうな印象ながらも、「MACD」ではゴールデンクロス(日足)が点灯しており、ドル上昇を示唆していました。ここから先はこれまで以上に介入警戒感が高まります。特に、158円台から上値では警戒が必要かと思いますが、今朝のブルームバーグの報道を目にして、「介入の可能性はそれほど高くはないのでは」との想いに傾いてきました。G7に出席するためイタリアを訪れたイエレン財務長官は、日本などはドル高に対してどう対応できるかという質問に対し「介入はまれであるべきで、(Currency intervention should be a seldom-used tool)実施には事前の伝達(should be commu nicated in advance)が適切だと考える。そして介入するのであれば、主に為替市場のボラティリティーへの対応であるべきだ」と答えています。また続けて、「介入は決して日常的に用いられる手段ではない」と、従来の考えを繰り返していました。

 この認識は先日ブルームバーグ・テレビジョンで語ったことと同じでしたが、ここからも分かるように、米国は介入には否定的であり、4月29日から2回見られた市場介入の実施については、事前に米財務省には伝えていなかったことが、イエレン氏の言葉から読み取れます。このように考えると、介入実施後も「介入にはノーコメント」と、沈黙を貫いていた財務相、財務官の対応も良く理解できるというものです。仮にドル円が再び160円近い水準を試すことになった際、それでも政府・日銀が毅然として介入を行うのかどうかが焦点になります。介入はしにくいものの、「介入がない」と市場が察知すれば、ドル円の一段の上昇は避けられないと思われます。(介入があったかどうかは来週の31日には判明しますが、円資金の動きからは介入以外には考えられず、筆者はここでは敢えて「介入」という言葉を使っています。)

 好調な経済活動が続き9月会合での利下げ開始も危ぶまれる米国ですが、ECBは6月の理事会で利下げに踏み切る可能性が高いと見ています。昨日もフランス中銀総裁は、「インフレ面でわれわれの確信は増した。従って予想外の事態がなければ、次回の政策委員会会合で初回の利下げを実施する可能性は極めて高い」と述べています。ただ、米国のインフレが再び加速するようだと、ECBも利下げが出来ない可能性もあり、仮に6月会合で実施したとして、続けて利下げを行う可能性は低いと見ています。

 本日のドル円は156円~157円50銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

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