【為替本日の注目点】ポンド円16年ぶりに200円台半ばまで上昇

為替

サーチナ

2024/5/28 10:18

ひと目で分かる昨晩の動き

欧州市場

 LDN、NYとも休場であったためドル円は小動き。東京市場での円高の流れを受け終始156円台で推移。ユーロドルは1.08半ばで推移。ポンド円が買われ、一時は2008年8月以来となる200円40銭台までポンド高円安が進行。

マーケット情報

ドル/円 156.71 ~ 156.96

ユーロ/ドル 1.0841 ~ 1.0867

ユーロ/円 170.01 ~ 170.50

NYダウ → 39,069.59ドル

GOLD → 2,334.50ドル

WTI → 77.72ドル

米10年国債 → 4.465%

本日の注目イベント

豪 豪4月小売売上高

日 クリーブランド連銀総裁、日銀主催のイベントで講演(都内)

英 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演(LDN)

米 3月ケース・シラ-住宅価格指数

米 3月FHFA住宅価格指数

米 1-3月期四半期住宅価格指数

米 5月コンファレンスボード消費者信頼感指数

米 クック・FRB理事講演

米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演

 為替市場の出来高としては世界最大の取引量を誇るLDN市場と、LDNに次ぎ世界第2位のNY市場が共に休場では、さすがに動きがありません。ドル円は東京市場でやや円高に振れた流れを受け終始156円台で推移。ドルの上昇も一服といったところです。ただそれでも対ドル以外の主要通貨に対して円の弱い位置は変わらず、昨日はポンド円が200円40銭台まで買われ、実に2008年8月以来およそ16年ぶりの高水準を付けました。ユーロや豪ドルに対しても円は弱く、今後も輸入物価の上昇は避けられない状況が続くとみられます。

 昨日は日銀金融研究所主催の国際コンファレンスがあり、開会の挨拶で植田総裁は「2%の物価安定の実現に向けて注意深く進んでいくつもりだ」と述べ、これまでと特に異なる発言はありませんでした。ただ午前中に行われた内田副総裁の基調講演で内田氏は、「3月に短期政策金利の操作を通じて2%の物価安定目標を目指し伝統的な金融政策の枠組みに戻ったことは、ゼロ金利政策を克服したことを意味する」と述べ、「インフレ予想を2%にアンカ-していくという大きな課題は残っているが、デフレとゼロ金利解除との闘いの終焉は視野に入った」と語っていました。この発言もあって日本の債券市場では10年債が売られ長期金利は1.025%前後と、12年ぶりの高水準まで上昇し、円がやや買い戻される動きにつながっていました。絶対値では「わずかな上昇」とは言え、このところの円金利の上昇は率でいったら結構な上昇率になります。米金利が今のところ大きく低下する兆候がないことで、急激なドル安にはなっていませんが、まさに内田副総裁の指摘するデフレとゼロ金利政策は終わり、今後は「金利のある世界」へと一歩一歩進んで行くことになります。焦点は、より動きの速い米金利の見通しということになります。

 来週6日(木)に開かれるECB理事会では利下げの可能性が高いと見ていますが、ECBの政策メンバーの中では依然として意見が分かれています。利下げに極めて積極的なフランス中銀のビルロワドガロー総裁は「ECBは6月と7月の会合で利下げをする可能性を排除すべきではない」と述べ、ドイツ、オランダ中銀総裁など、利下げに慎重なメンバーをけん制する発言を行いました。市場では6月の0.25ポイントの利下げはほぼ織り込んでいますが、現時点では連続利下げは想定されていません。ECBのチーフエコノミストであるレーン理事は「景気抑制の適切な度合いと期間を決定するため、引き続きデータに依存し、会合ごとのアプローチに従う」と述べています。(ブルームバーグ)ラガルドECB総裁も利下げには前向きですが、ドイツ経済の底入れも確認される中、連続利下げの可能性は極めて低いと言えるでしょう。

 本日のドル円は156円~157円30銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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