ネットスターズ・安達源CFOに聞く:「StarPay」の利用拡大続く

 ネットスターズ(5590)はQRコード決済をはじめとするキャッシュレス決済サービスを店舗に一括で導入・運用管理するマルチキャッシュレス決済ソリューション「StarPay」の提供を手掛ける。QRコード決済の接続ブランド数は海外ブランドを含めた50ブランド以上で国内最大級。2023年9月に東証グロース市場に上場した。前12月期は赤字だったが、今期は黒字転換を見込んでいる。同社の現状と今後について安達源取締役CFO(最高財務責任者)=写真=に聞いた。

 ――「StarPay」の強みは何ですか。

 「日本をはじめ世界でキャッシュレス決済が普及していて、店舗が個別に契約・売上管理を行おうとすると、管理が大変煩雑になるのが現状です。こうした中で、加盟店は『StarPay』を導入することにより、クレジットカード決済や50以上ものQRコード決済に対応できるメリットは大きいでしょう。また、世界最先端技術であるクラウドネイティブインフラやコンテナ技術を採用していることから、お客様の実態にあわせた利用形態で、決済総額が大きくなっても、低い管理コストと高い安全性を実現しています。中でも、23年の決済処理成功率99.99%という、安全性が最大の強みです。メリットの多さから新規顧客開拓が進み、解約率はごく低いため、GPV(決済取扱高)は拡大が続いています。『StarPay』のビジネスモデルは、決済額に応じた加盟店の手数料から決済事業者の手数料を差し引いた純額が当社の収益になるというもので、GPV拡大とともに、今後も『StarPay』関連の収益拡大は続くでしょう」

 ――「StarPay-DX」として、数多くのDX(デジタルトランスフォーメーション)商材もそろえています。

 「『StarPay-DX』を利用することで、加盟店は決済にプラスしてワンストップでDX化を実現できます。具体的には、ネイティブアプリだけでなく、ミニアプリも活用し、セルフレジ、会員登録、モバイルオーダー、テーブルオーダー、クーポン発行、プロモーションなど、さまざまなDX製品を提供します。このうち、セルフレジシステムは映画館を中心に提供してきましたが、最近では商業施設へも利用が広がってきました。また、『StarPay』と『StarPay-DX』のクロスセルを推進していることから、それぞれの導入が進めば、加速度的な収益の拡大が期待できるでしょう」

今12月期の初の黒字化から成長加速へ

 ――今12月期の第1四半期(1~3月)決算は連結売上高8億2600万円、営業損益1億5800万円の赤字でした。

 「売上高は順調に伸び、前期に終了した通信サービスの影響を除くと前年同期比28.9%の増収となりました。POSベンダー、決済ブランド事業者、地方金融機関など、多くのパートナーと協業し、日本全国で新規の加盟店開拓を進めており、加盟店数は増加が続いています。年商100億~500億円規模の中堅大手スーパーや商業施設の導入もありました。GPVは3611億円(前年同期比41.3%増)と大きく伸び、これからもさらに増加していく状況です。販管費の適切なコントロールで想定より赤字幅も縮小しました。通期業績予想の売上高46億5000万円(前期比25.0%増)、営業損益1億100万円の黒字(前年同期実績3億2100万円の赤字)に向けて良いスタートが切れています」

 ――将来のビジョンを教えてください。

 「今後ますます『StarPay』を中心とした事業の成長が軌道に乗るでしょう。今期黒字化させることも重要ですが、来期どれだけの幅の黒字を出せるかが重要だと思っています。そのため、よりパートナーとの関係強化に取り組むとともに、独自の新規顧客開拓にも注力しています。パートナーとの協業、独自開拓の双方で『StarPay』と『StarPay-DX』のクロスセルを進めていく方針です。毎期のコストは10%程度の増加を想定していますが、売上高はそれ以上の成長が予想されるため、将来的には利益面の成長がより加速していくことになりそうです」

 「一方、当社は次世代の決済インフラで主導的な役割を果たせるよう、Web2.0とWeb3.0(分散型インターネット)の技術的境界を越えた新たなインフラ構築を目指しています。この5月には金融業界向け次世代取引処理インフラとして開発されたWeb3.0基盤『Tusima』のブロックチェーンネットワークでPOC(Proof of Concept)実証実験に成功しました。Web3.0環境において、安定的かつ安全に決済データ処理が可能なことを検証できたことになります。今後、Web3.0が普及し、例えば政府がステープルコインを発行するようになったときには、当社の技術が大いに活躍できることになると期待できます」

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