<新興国eye>ロシア中銀、金利据え置き―次回7月会合で利上げの可能性

新興国

2024/6/10 9:11

 ロシア中央銀行は先週末(7日)の金融政策理事会で、インフレ上昇圧力を抑制するため、主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利を高水準の16%に据え置くことを決めた。市場の大方の予想通りだった。ただ、一部では利上げを予想していた。

 中銀は通貨ルーブル安とそれに伴うインフレ再加速を抑制するため、23年7月会合で、ウクライナ戦争開始(22年2月24日)以来、1年5カ月ぶりに利上げ(1ポイント)に踏み切った。しかし、24年2月会合で8カ月ぶりに据え置きに転換、利上げサイクルを5会合連続で止めた。これで据え置きは4会合連続となる。ただ、利上げ幅は計8.5ポイントに達しているため、依然、16%の現行金利は22年4月以来、2年ぶりの高水準。

 中銀は据え置き決定について、「インフレ低下が止まり、1-3月期の水準近くにとどまっている。需要の伸びは依然、財・サービスの供給を上回っている」と、インフレ再燃リスクが高まっていることを強調。前回会合時の「現在のインフレ上昇圧力は徐々に緩和しているが、依然として高い」との文言からインフレ懸念を一段と強めている。

 その上で、今後の金融政策について、中銀は、「次回7月会合で金利引き上げの可能性を否定しない。それに加え、インフレを物価目標(前年比4%上昇)に戻すには、4月の経済予測時点よりも相当な長期間、金融引き締め状態を維持する必要がある」とし、利上げの可能性を視野に入れながら、現在の高水準の金利据え置きを長期化させる必要性を示した。

 インフレ見通しについては、中銀は4月経済予測通り、「25年に物価目標に収束、その後は4%上昇近くで安定する」と見ている。4月のインフレ率は前年比5.8%上昇と、1-3月期の同5.7%上昇をやや上回り、高止まり。他方、コア指数は同8.3%上昇と、1-3月期の同7.1%上昇を大幅に上回っている。

 また、インフレリスクについて、中銀は、「インフレリスクは一段とインフレ上昇リスクにシフトした。主なリスクは貿易条件の変化(地政学的緊張の結果を含む)や持続的な高水準のインフレ期待、ロシア経済の均衡成長軌道からの上方への逸脱(需要過多)に関連している」とし、警戒感を強めている。ロシアではウクライナとの戦争による戦争需要で経済が過熱しているのが現状で、期待インフレ率も5月に上昇、11.7%上昇に達した。

 次回の定例会合は7月26日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 RTS連動<1324.T>、WTI原油<1671.T>、ガス<1689.T>、

 原油<1690.T>、野村原油<1699.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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