【為替本日の注目点】ドル円重要イベントを前に様子見

為替

サーチナ

2024/6/11 10:20

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は157円を挟み一進一退。東京時間に157円19銭まで買われたが、NYではFOMCとCPIといった重要イベントを前に小動き。ユーロドルは続落。欧州の政治情勢が不安定となり、仏国債などが大きく売られたことがユーロ売りにつながり、ユーロは1.0733まで下落。株式市場は3指数が揃って上昇。ナスダックとS&P500は共に最高値を更新。債券は続落し、長期金利は4.46%台に上昇。前日大きく売られた金は小反発。原油は大幅に反発。

NY連銀1年インフレ期待(5月) → 3.17%

マーケット情報

ドル/円 156.82 ~ 157.09

ユーロ/ドル 1.0733 ~ 1.0766

ユーロ/円 168.39 ~ 169.08

NYダウ +69.05 → 38,858.04ドル

GOLD +2.00 → 2,327.00ドル

WTI +2.21 → 77.74ドル

米10年国債 +0.034 → 4.467%

本日の注目イベント

豪 5月NAB企業景況感指数

中東 OPEC月報

英 5月失業率

英 ILO失業率(2-4月)

加 4月住宅建設許可件数

 昨日の東京時間ではドル円は上値をやや切り上げ157円19銭前後まで買われましたが、NYでは小動きでした。日米の金融政策決定会合を控え、さらに年内の利下げ回数にも直接かかわってくる5月の米消費者物価指数(CPI)の発表も控えていることから動きにくく、様子見気分が広がった1日でした。

 NY連銀が10日に公表した5月の「月間消費者調査」によると、株価が1年後に上昇する確率が先月には「40.5%」に達し、2021年5月以来の高水準だったことが判明しました。楽観的な見方が広がったことで、昨日のNY株式市場では主要3指数が揃って上昇し、中でもナスダックとS&P500は揃って最高値を更新しています。株価指数が最高値を更新していることで、株式への資金配分が多い米国民の家計純資産は1-3月(第1四半期)では過去最高を記録したことも発表されています。一方、注目されたインフレ期待は、1年先が「3.2%」と、前月の「3.3%」から小幅に低下し、3年先のインフレ期待は「2.8%」で横ばい、5年先はわずかに上昇していました。(ブルームバーグ)

 ユーロドルが1.07台前半まで売られ、およそ1カ月ぶりの安値に沈みました。先週行われた欧州議会選挙で極右政党への支持が拡大し、政治的不安がユーロ売りにつながったようです。取り分けフランスでは、ルペン氏が率いる極右政党・国民連合(RN)と、同氏の姪で元下院議員のマレシャル氏が、「近く予定されている総選挙でマクロン大統領に対抗するため協力する可能性を協議している」と伝えられており、これが引き金となりフランス国債が売られ、ユーロ売りを誘いました。9日に開票された欧州議会選挙ではRNが31.4%の票を得た一方、マクロン氏率いる与党連合は15%に届かず大敗を喫しています。RNとマレシャル氏の政党の5.5%を合わせると、極右政党の得票率は37%に達します。マクロン大統領は国民議会(下院)を解散しており、総選挙の第1回投票を6月30日に、第2回投票を7月7日に実施すると発表しており、このままで行けば、ルペン氏率いるRNが下院で第1党となる可能性が高いと見られています。ECではドイツに次ぐ大国のフランスで極右政党が政権を握る可能性が示唆されており、今後さらにユーロの下落に拍車をかけるかもしれません。

 米国に先んじて利下げを断行したECBのラガルド総裁は、今後の政策については慎重な姿勢を見せ、追加利下げを見込む市場をけん制する発言を行いました。先走る市場に対してラガルド氏は、「われわれは適切な決定を下したが、それは金利が直線的な低下軌道にあることを意味するものではない」と述べ、その上で、「われわれは新たな見通しが立った時のみならず、あらゆる段階で再評価を行う」と語っています。また「ディスインフレは十分に進行しており、向こう1年半にわたり継続すると考えている。そのため金利を引き下げる可能性がある。だが、まだ勝利宣言はしない」と発言しています。

 イスラエルのガンツ前国防相が9日戦時内閣から離脱すると発表しています。ガンツ氏はネタニヤフ首相の政策を厳しく批判しており、8日までにパレスチナ自治区ガザの戦後統治に関する計画策定をネタニヤフ氏に求めていましたが、同日までに回答がなかったことから、「残念ながらネタニヤフ氏はわれわれが真の勝利に向けて前進する妨げになっている」として、戦時内閣からの離脱を決めています。ガンツ氏の離脱により、「内外で孤立し歯止めを失ったネタニヤフ氏に、国際社会が自制を求めるのはますます難しくなっていく」(日経新聞)と見られており、欧米、とりわけ米国のバイデン政権の対応が注目されます。ネタニヤフ政権は今回4人の人質をハマスから救出しましたがその際、民間人を含む200人以上のパレスチナ人の犠牲者が出た模様です。

 本日のドル円は156円50銭~157円50銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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