リソー教育、総合教育施設「こどもでぱーと」始動で新ステージ入りへ
2024/6/20 10:30
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個別指導塾「TOMAS(トーマス)」で知られるリソー教育(4714)は、新機軸の子供の総合教育施設「こどもでぱーと」の事業を本格化する。不動産のヒューリック(3003)との資本関係を強め、富裕層の需要取り込みを強化する。
(写真:123RF)
25年中野に開業、ヒューリック傘下で好立地戦略加速
リソー教育は主力のTOMASのほか、幼児教育「伸芽会」、家庭教師派遣の「名門会」などを、首都圏を中心に展開する。連結営業利益は2023年2月期の24.0億円を底に前期は25.9億円に持ち直し、今期は26.7億円を計画している。
TOMASの売上増、学校法人向け個別学習支援サービス「スクールTOMAS」の導入校の伸びが足下の収益増に寄与。また、伸び悩んでいた主要ブランドの生徒数は、TOMASが24年2月期下期に持ち直した。伸芽会も今期に入って底を打ちつつあるもようだ。
こうした中、同社は5月にヒューリックの連結対象になった。ヒューリックはリソー教育創業者の岩佐実次氏の保有株の取得と、新株の引き受けにより、リソー教育への出資比率を従来の20%から51%に引き上げた。次世代ビジネスに位置付ける教育事業を加速したい考え。
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これにより、リソー教育は約33億円を調達した。その大部分を振り向けるのが、こどもでぱーとだ。
こどもでぱーとは、グループのTOMASや伸芽会などのほか、託児所や運動スクールといった多様な教育施設をそろえた子供特化ビル。同社はヒューリック、コナミスポーツなどと連携し、25年春には東京・中野の第1号施設=イメージ=が開業する。29年までに首都圏で20棟の展開を目指す。
リソー教育はヒューリックから調達した資金の13億円を、9棟分のこどもでぱーとの開業に充てるという。同社の天坊真彦社長は、「このうちの既に6棟にめどが立っている」と話す。ヒューリックの不動産を活用することで、好立地戦略もスムーズになる。
富裕層取り込む、成長性でも投資対象に
25年中には中野に続き、横浜市青葉区のたまプラーザでこどもでぱーとのオープンを予定する。また、9棟とは別に7億円を投じ、26年に東京・渋谷に「創造文化教育施設」を設ける準備も進めている。これは未来型の美術館などを収容した、こどもでぱーとの旗艦店に位置付ける。
このほか、約7億円をIT化に充当する考え。顧客データベースを今期末までに統合し、各ブランドの生徒情報を共有することで囲い込みを図る。事務作業を効率化するDX(デジタルトランスフォーメーション)にもつなげ、収益力を強化する狙いだ。
日本は23年の合計特殊出生率が1.20(前年は1.26)と過去最低に落ち込むなど、深刻な少子化に直面している。一方で小中校や難関高校・大学の受験ニーズは強く、学習塾市場には依然として伸び代がある。同社は個別指導の強みを武器に、教育費を惜しまない富裕層を中心にシェア拡大を目指す。
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幼児も含めた幅広い年齢層を総合的にカバーするこどもでぱーとには、その起爆剤としての期待が掛かる。親が子供の塾や習い事などの送り迎えを一本化できるため、「安心・安全の観点からも選ばれる」(天坊社長)。6月18日時点で4.0%と高い配当利回りを重視して投資対象となる傾向が強かった同社株だが、新たなステージに入り成長性への注目度が高まるかもしれない。
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