【為替本日の注目点】仏下院選挙の結果を受けユーロ急騰

為替

サーチナ

2024/7/1 10:55

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は朝方、PCE価格指数に反応し160円27銭まで売られたが、その後発表された経済指標が上振れ米金利が上昇したことで、160円95銭前後まで上昇。ユーロドルは上昇して始まったが、その後1.07台割れまで反落。なお、今朝は早朝にフランス下院選でルペン氏率いる極右政党・国民連合(RN)が支持を得た模様だとの報道に、1.0742近辺まで急騰。株式市場では3指数が揃って反落。長期金利が上昇したことでナスダックは126ポイントの下落。債券は大きく売られ、長期金利は4.39%%台へと大幅上昇。金は小幅に続落し、原油は小幅安。

5月個人所得 → 0.5%

5月個人支出 → 0.2%

5月PCEデフレータ(前月比) → 0.0%

5月PCEデフレータ(前年比) → 2.6%

5月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.1%

5月PCEコアデフレータ(前年比) → 2.6%

6月シカゴ購買部協会景気指数 → 47.4

6月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 68.2

マーケット情報

ドル/円 160.27 ~ 160.95

ユーロ/ドル 1.0693 ~ 1.0724

ユーロ/円 171.45 ~ 172.44

NYダウ -45.20 → 39,118.86ドル

GOLD +3.00 → 2,339.60ドル

WTI -0.20 → 81.54ドル

米10年国債 +0.110 → 4.396%

本日の注目イベント

豪 豪5月小売売上高

日 4-6月期日銀短観

中 6月財新製造業PMI

独 独6月消費者物価指数(速報値)

独 独6月製造業PMI(改定値)

欧 ユーロ圏6月製造業PMI(改定値)

欧 ラガルド・ECB総裁講演(ECBフォーム)

英 英6月製造業PMI(改定値)

英 英5月消費者信用残高

米 6月ISM製造業景況指数

米 6月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)

 6月30日に行われたフランス下院選挙の第1回開票で、マリーヌ・ルペン氏率いる極右政党・国民連合(RN)が最多の票を獲得したことが、出口調査の結果で示されました。マクロン氏にとっては大きな打撃で、「近代フランスで初めて極右政党が内閣を支配する様相が濃くなった」とブルームバーグは伝えています。4社の出口調査によると、RNの得票率は33-34.2%となる見込みで、左派連合は28.5-29.6%、マクロン氏の中道連合は20.3-22.4%と見込まれ、マクロン大統領の政党が第3位にとどまる見通しのようです。かつてフランスではミッテラン氏が大統領に就任し、社会党政権を樹立したことはありますが、極右政党による政権樹立も現実味を帯びてきました。社会党政権では主要産業を国有化し、筆者の入行した銀行も当時は国が株主で、その後民営化された経緯がありました。7月7日の決選投票でRNが絶対過半数を獲得できるかどうかが焦点になりますが、コアビタシオン(保革共存)の可能性もあるかもしれません。

 先週末は米大統領候補者の第1回テレビ討論会の話題がTVで持ち切りでした。高齢によるバイデン氏の「不安定さ」を選ぶのか、あるいは有罪判決を受けたトランプ氏の「危険性」を選ぶのか、このままいけば米国民は究極の選択を迫られることになります。トランプ氏は前回同様、相手の言葉に非難を繰り返す場面が多く、バイデン氏もそれにのって反論する場面もありました。またバイデン氏は風邪気味とはいえ、言葉に詰まり、しばらく固まるシーンも見られました。結局、政策論争が見られない90分だったようですが、放映後今回の討論会でどちらが勝利したのかという調査では37対63で、トランプ氏の圧勝でした。民主党内からも、バイデン氏では勝てないといった声も上がり、民主党に近いとされるNYタイムズ紙は社説で、「米国のために、バイデン氏は辞退すべきだ」と厳しい選択を迫っていました。ただ規定上、バイデン氏に替わる候補者を擁立するには、バイデン氏自身が出馬を取りやめることが必要で、討論会の翌日の28日には「ホワイトハウスでもう4年間仕えることは出来る」と宣言しています。これまでの大統領選では「誰が米国の次期大統領にふさわしいか」という視点で選ばれてきましたが、「バイデン対トランプ」の対決が最後まで続くようだと、「誰が米国の次期大統領にふさわしくないか」といった視点で選ばれそうです。

 米経済指標では、インフレの鈍化を巡り相変わらず強弱の結果が示されています。ただドル円ではそれでも「ドル買い円売り」のセンチメントが変わらず、先週末の東京市場では一時161円27銭までドルが買われる場面もありました。テクニカル的にはドルの一段高が見込めそうですが、一方では介入警戒感がさらに高まりつつあります。また米経済指標の結果では、このままドル買いを進めてもいいのか、混沌としている部分もあります。引き続き細心の注意を持って臨む必要がありそうです。

 本日のドル円は160円~161円50銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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