<年末年始特集>どうなる暗号資産―22年の振り返りと23年の展望(1)

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2022/12/30 16:11

―22年の暗号資産の振り返り―

 22年の暗号資産市場は、ロシアによるウクライナ侵攻で売りが強まるなど、幸先の悪いスタートとなった。

 ウクライナが暗号資産での寄付を求めたのに対し、ロシアが西側諸国による経済制裁から逃れる手段のひとつとして暗号資産が活用されるとの思惑もあり、いったんは買い戻しが先行し、ビットコインは年始の水準に接近してドルベース4万8000ドル手前まで上昇したが、世界的な金融引き締めの流れを受けて金融市場全体にリスクオフの売りが広がり、暗号資産も調整色を強めた。

 株式市場と比較すると、ウクライナ情勢の緊迫化までは振れ幅の大きさこそあっても、方向感に大きな違いはなかったと考えられる。方向感がまったく異なったのは、5月の「テラショック」の影響が大きい。

 「テラショック」とは、ステーブルコインのTerraUSDの裏付けとなっているネイティブトークンのテラ(LUNA)の急落に端を発する。テラの急落によりドルと連動するはずのTerraUSDも一時急落したことで、法定通貨と連動するステーブルコイン全体の信頼が大きく揺らぐと、暗号資産全体に売りが波及。暗号資産の融資サービスを手掛けるセルシウス・ネットワークが顧客資金の出金を停止したことなどから流動性の問題が広がり、暗号資産はほぼ全面安となった。

 「テラショック」の傷跡は深く、夏にかけてはセルシウスのほか、暗号資産ヘッジファンドのスリー・アローズ・キャピタル(3AC)が相次いで破産を申請。米国の雇用指標や物価指標が強めでFRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締めの長期化が警戒されたことで暗号資産市場に戻ってくる資金も細り、イーサリアムの大型アップデート「Merge」への期待で下げ渋る場面もあったが、株式市場とのカイ離が広がったままの状態が続いた。

 8月からは株式市場でもFRBの金融引き締め長期化が意識されて調整。すでに暗号資産は調整が進んでいたことから下値の限られた展開が続いたが、11月には暗号資産取引所大手FTX破たんの影響で一段安となった。FTXをめぐっては、当初FTXの姉妹企業であるアラメダ・リサーチの債務超過リスクが顕在化。ライバルのバイナンスがFTXを買収することで合意したと発表すると下げ渋ったが、その後に撤回。結局は破たんしたため、暗号資産全体への売りが強まった。

 年末はFRBによる金融引き締めペースの鈍化観測から買い戻しが流入し、持ち直したものの、ピーク金利の引き上げや日銀による政策修正の影響で押し返される展開となっている。(2)へつづく

提供:モーニングスター社

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