<年末年始特集>市場再編を経てもIPOは変わらず、22年は91社がデビュー
2022/12/30 16:13
2022年は91社がIPO(新規上場)を果たした。4月に東証が市場再編を行っており、IPOの主戦場は東証マザーズから東証グロースに変わった。例年ならラッシュとなる3月末の上場が再編の影響で少なく、そのため年間のIPO銘柄数も前年の125銘柄から減少している。
22年の傾向は、スタートが早く、3月ではなく再編後の4月に増加した。後半は通常のペースでIPOが行われた。また、ウクライナ問題を受けた延期も目立ったほか、超大型案件がなかったこともあって全体の吸収金額は例年よりも少なく、にもかかわらず初値パフォーマンスは低調だった。
―勝ち星「神話」崩壊―
前半戦の話題は、第1号案件であるRecovery International<9214.T>の公開価格割れ。第1号案件は現行のブックビルディング制度が始まって以降、公開価格割れしなかったが、今年はその「神話」が崩壊した。このため、23年の第1号案件が既に承認を受けている(テクノロジーズ<5248・グロース、情報通信>、1月26日上場予定)が、従来のように手放しで評価する動きは後退しそうだ。
ハイライトはANYCOLOR<5032.T>の上場。VTuberグループ「にじさんじ」を運営する企業で、圧倒的な成長力が評価された。市場からの吸収金額は20億円を超える規模だったが、上場初日は買い注文が殺到して売買が成立せず。初値は3倍を超え、22年の3位にランクインした。エニカラーは上場後も東証マザーズ指数の主力銘柄として市場に大きな影響を与えている。このほか、人工ダイヤモンドのイーディーピー<7794.T>、AI(人工知能)を用いたM&A(企業の合併・買収)アドバイザリーのM&A総合研究所<9552.T>など、上場後にグロース市場のスター銘柄となったIPOも多く上場した。
―5倍超え銘柄も登場―
後半戦の10月には、プライム市場へのIPO第1号となるソシオネクスト<6526.T>が上場。半導体不足が深刻化する中、圧倒的な好業績を引っ提げて登場した。そして、今年の初値上昇率1位を獲得したのは11月末に上場したウェルプレイド・ライゼスト<9565.T>。初値上昇率は5倍を超えた。同社は、eスポーツ関連ビジネス専業で、いわゆる「初物案件」として人気を集めた。ウェルプレを除いては、上場2日目に初値形成を持ち越す人気案件が少なく、また上場2日目になって急失速するケースも多いなど、IPOの初値買いの熱が冷めた印象だった。
年末には、これまで少なった赤字企業の上場が急増。未上場時代に行った増資価格を大幅に下回る価格水準で上場する、ダウンラウンド上場が増加しており、IPOマーケットがさながら、ファンドの投げ売りの場と化してしまった。初値パフォーマンスはそこまで悪くならなかったが、IPOの質的低下が懸念される情勢となっている。
―有望ベンチャー待望―
23年は、先述のテクノロジーズの上場からスタートする予定。上場観測の報道が出ている有名企業は多いが、金利上昇によってIPOで資金を調達しにくい環境であることから、前半戦は低調となることが予測されている。楽天銀行や延期した住信SBIネット銀行、楽天証券、レオス・キャピタルワークスなどの金融系企業、また月面探索のispace、ドローンなどのA.L.I.Technologiesなど、有望ベンチャー企業の登場も待たれる。
提供:モーニングスター社
関連記事
-
<年末年始特集>どうなる暗号資産―22年の振り返りと23年の展望(2)
2022/12/30 16:12
(1)からつづく―23年の暗号資産の展望 FTX破たんから間もないため、23年に入っても暗号資産関連企業の破たんなどへの警戒は根強いと考えられ、暗号資産市場への本格的な資金の流入には時間がかかる可能性・・・…続き
-
<年末年始特集>どうなる暗号資産―22年の振り返りと23年の展望(1)
2022/12/30 16:11
―22年の暗号資産の振り返り― 22年の暗号資産市場は、ロシアによるウクライナ侵攻で売りが強まるなど、幸先の悪いスタートとなった。 ウクライナが暗号資産での寄付を求めたのに対し、ロシアが西側諸国による・・・…続き
-
<年末年始特集>医薬品関連の好業績株、23年3月期上期、過去最高業績更新の2社
2022/12/30 16:10
FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げ、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化による資源高などを受け円安が進行する中、12月19-20日の日銀金融政策決定会合で長期金利の上限が0.5%へと、実質的に・・・…続き
-
<年末年始特集>2023年も重要イベント目白押し―WBC、日銀新総裁、COP28(2)
2022/12/30 16:09
(1)からつづく―日銀は金融緩和修正、次期総裁は誰に― 一方、4月には日本銀行の黒田東彦総裁が任期満了を迎える。岸田文雄首相は「4月の段階で最もふさわしい方を任命する」と明言するが、日銀は19日、20・・・…続き
-
<年末年始特集>2023年も重要イベント目白押し―WBC、日銀新総裁、COP28(1)
2022/12/30 16:08
2022年は新型コロナの影響が残る中、北京オリンピックやサッカー・ワールドカップ(W杯)などのビッグイベントが注目を集めた。また、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切り、各国の金融政策に株・・・…続き
速報ニュース
-
95時間前
-
先読み作戦指令室=オートウェーブ:新規事業の業務スーパーが順調に拡大
95時間前
-
日経平均は5円程度高、プラス寄与度は第一三共、東エレク、レーザーテクが上位
95時間前
-
(再送)ストリームMが急騰、24年12月期第1四半期決算は大幅増益で着地
95時間前
-
(再送)伊藤ハム米久が上げ幅拡大、25年3月期は2ケタの営業増益見通しに配当は増額へ
96時間前
-
2日後場寄り付きの日経平均株価=74円33銭高の3万8348円38銭
96時間前
-
マーケット早耳情報=話題株の後場寄り前成り行き注文状況―ソシオネクス、三井物、三菱商など
96時間前
-
マーケット早耳情報=主な後場寄り前成り行き注文状況(2)LINEヤフ、楽天グループ、みずほなど
96時間前
-
マーケット早耳情報=主な後場寄り前成り行き注文状況(1)トヨタ、ENEOS、ソフバンGなど
96時間前
-
96時間前