【為替本日の注目点】ドル高が続き、円も金も売られる

為替

サーチナ

2023/8/16 9:54

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は緩やかに上昇し、ロンドン市場オープン時には145円86銭まで上昇。NYでは米金利高の支えもあったが、145円83銭の高値で止まる。ユーロドルはほぼ前日と同水準で推移。株式市場は3指数が大幅に下落。地区連銀総裁のタカ派発言やフィッチによる一部米銀の格下げの可能性が重荷に。債券は続落。長期金利は4.21%台に上昇。ドル高が続き金は7日続落。原油も続落し80ドル台に。

マーケット情報

7月小売売上高 → 0.7%

8月NY連銀製造業景況指数 → -19

7月輸入物価指数 →  0.4%

7月輸出物価指数 →  0.7%

8月NAHB住宅市場指数 → 50

ドル/円 145.11 ~ 145.83

ユーロ/ドル 1.0896 ~ 1.0952

ユーロ/円 158.57 ~ 159.21

NYダウ -361.24 → 34,946.39ドル

GOLD -8.80 → 1,935.20ドル

WTI -1.52 → 80.99ドル

米10年国債 +0.020 → 4.211%

本日の注目イベント

欧 ユーロ圏4-6月期GDP(改定値)

欧 ユーロ圏6月鉱工業生産

英 英7月消費者物価指数

米 7月住宅着工件数

米 7月建設許可件数

米 7月鉱工業生産

米 7月設備稼働率

米 FOMC議事録(7月25-26日分)

 ドル円の緩やかな上昇が続いています。昨日は東京市場引け間際、ロンドン市場のオープン時にドルが急伸し、145円86銭までドル高が進みました。NY市場ではその水準を上回ることはなかったものの、円の全面安の展開は続き、ユーロ円も160円に迫る勢いです。もっとも、売られたのは円だけではなく、ドルの代替品の側面もある金も7日続落で、5月に記録した直近高値の2062ドルからは127ドル(6.2%)も売られています。昨日は原油も売られましたが、こちらは中国景気の減速が最大の要因のようです。中国の2023年GDP成長率については、JPモルガンとバークレーズが5%を下回る水準に見通しを引き下げています。実質金利の高い米ドルに資金が向かっている構図が鮮明です。

 ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は15日のイベントで、「インフレ率は現在、鈍化しつつある。順調な進展を一定程度遂げてきた」と発言。一方で、「インフレ率は依然として高すぎる」とも述べ、「利上げは終了か。私自身、終わったという準備はない。しかし、明るい兆候は見られる。例えば、その過程にあるのかもしれない。もう少し時間をかけて、もっとデータを確認してから、追加措置が必要かどうかを決めることになる」と話しています。(ブルームバーグ)カシュカリ総裁は今年のFOMCでの投票権を有しており、「私の頭の中にある疑問は、インフレ率を当局の2%目標に実際に戻すのに十分な措置を講じてきたのか、あるいはさらなる措置が必要なのかだ」とも述べています。総裁のこの発言は「タカ派」と受け止められ、株価が大きく売られドルが買われています。

 このような発言を受け、今朝のブルームバーグは「FRBの議論、『どこまで高く』から『どの程度の期間高く維持』に移る」といった見出しを掲げていました。FRBによるインフレ抑制の引き締めキャンペーンが終わりに近いことは確実かとは思いますが、その先、その水準をいつまで維持すべきなのかが今後議論の中心となる可能性が高いと思われます。来週開催される「ジャクソンホール・経済シンポジウム」でも議論されるかもしれません。FOMCメンバーの中には、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁のように、金利を当面据え置くことが必要との意見がある一方、ボウマンFRB理事のようにさらなる追加利上げが必要だとする意見もあり、メンバーの認識は必ずしも足並みが揃っていません。それだけに、ジャクソンホールでのパウエル議長の発言にはより注目が集まります。

 FOMCメンバーの見方が割れるのもうなずけます。発表される経済データが強弱まちまちで、先行きを予測するのが簡単ではありません。先週発表されたCPIとPPIは市場予想を相次いで上回りました。一方昨日発表されたNY連銀製造業景況感指数は前月から20ポイントも低下しており、予想以上の活動縮小を示していました。同指数は「ゼロ」が活動の拡大と縮小の境目で、8月の同指標は「-19」でした。もっとも同指数は過去2年間にわたって月間の変動が大きい状態が続いており、明確な傾向が見られないことも指摘されています。

 ドル円は東京市場では上値の重い動きですが、NY市場では米金利の上昇を手掛かりに上値を追って行く展開が続いています。短期的な値動きを示す「1時間足」ではここ1週間、雲抜けを完成させて以来、きれいに雲に沿って上昇しているのが見て取れます。「転換線と基準線」に沿った「バンドウォーク」とも言えそうです。「一歩後退・二歩前進」といった動きで、この流れがどこまで続くのかといった状況です。

 本日のドル円は144円50銭~146円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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