【為替本日の注目点】欧米のPMI下振れ
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は大きく反落。8月の米PMIが予想を下回ったことで米金利が急低下。ドル円は145円を割り込み、144円55銭まで売られる。ユーロドルも1.0802近辺まで売られ、6月中旬以来となる安値を付ける。ユーロ圏PMIが下振れしたことで売りが優勢に。株式市場は久しぶりに3指数が揃って上昇。PMIが下振れし金利が低下したことに加え、予想を超えるエヌビディアの決算がハイテク株を押し上げる。債券は大幅に反発。長期金利は4.19%台へと急低下。金は大幅に上昇し4日続伸。原油は軟調な欧米のPMIを受け続落。
マーケット情報
7月新築住宅販売件数 → 71.4万戸
8月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 47.0
8月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 51.0
8月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 50.4
ドル/円 144.55 ~ 145.60
ユーロ/ドル 1.0802 ~ 1.0870
ユーロ/円 156.86 ~ 157.36
NYダウ +184.15 → 34,472.98ドル
GOLD +22.21 → 1,948.10ドル
WTI -0.75 → 78.89ドル
米10年国債 ―0.132 → 4.192%
本日の注目イベント
トルコ トルコ中銀政策金利発表
米 新規失業保険申請件数
米 7月耐久財受注
米 ジャクソンホール会合(26日まで)
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、CNBCとインタビュー
米 コリンズ・ボストン連銀総裁、ヤフーファイナンスとインタビュー
米 トランプ氏、ジョージア州裁判所に出廷
「やはり」と言うべきか、今朝の報道では、ロシアのトベリ州で23日に墜落したプライベートジェットの乗客リストに、民間軍事会社ワグネルの創設者であるプリゴジン氏が含まれていたと、ロシアのインタファクス通信が伝えています。モスクワからサンクトペテルブルクへ向かっていた同機のパイロット3人と乗客7人全員が死亡したと、先に国営タス通信が伝えていました。プリゴジン氏率いるワグネルは6月にプーチン政権に対する反乱を試みましたが、モスクワ方面への進軍を途中で中止し、その後同氏はベラルーシへの亡命で合意していました。墜落についてロシア大統領府のコメントは現時点ではないようですが、ただ、複数の当局者は、プリゴジン氏がプーチン氏の報復にあった可能性を示唆しています。(ブルームバーグ)。この報道を受けてバイデン大統領は、「何が起きたのかはっきりとは分からないが、驚いてはいない」と記者団に語っています。今回の墜落が、もしプーチン氏の報復による意図的な殺害であったら、その影響がロシア国内でどのような動きになるのか、こちらからも目が離せない状況です。
ドル円は明日のジャクソンホールでのパウエル議長の講演を待たずに144円台半ばまで下落しています。S&Pグローバルが発表した8月のPMIが市場予想を下回ったことで米金利が急低下し、ドル売りが活発になりました。総合PMIを含む全ての指標が市場予想を下回り、特に製造業PMIは「47」まで低下し、活動の拡大・縮小の境目である「50」を大きく下回っています。S&Pグローバルの担当者は、「高い価格や金利上昇を受けて、需要がますます低迷しているようだと企業が報告している。その結果として、新規受注が8月に落ち込んでおり、9月の生産を縮小に転じさせる可能性もある。企業が需要環境の悪化に合わせて稼働能力を調整するためだ」と説明しています。(ブルームバーグ)この大幅な下振れを受け、明日のパウエル議長の講演にも多少影響が出る可能性があります。「タカ派寄り」の発言を基本としながらも、「大幅な利上げの効果が多くの指標に見られると」いった言葉なども含む、バランスのある発言内容かと個人的には予想していますが、どうでしょうか。植田日銀総裁もジャクソンでの会合に参加するようです。今朝、懇意にしている通信社の記者から電話があり、「参加するが、講演があるかどうかは分からず、ぶら下がり取材で総裁の話が聞ける程度」との事でした。もっとも、ジャクソンホールの前にも今日はフィラデルフィア連銀とボストン連銀総裁の発言機会があります。状況が状況だけに、こちらの発言にも注意したいところです。
ドル円は今週、米金利の上昇を手掛かりに上値を試す動きを見せましたが、結局現時点では先週記録したドルの年初来高値である146円56銭を上抜け出来ていません。米長期金利は一時4.36%台まで上昇。昨年記録した水準を上回り、およそ15年9カ月ぶりの金利高を示現したにもかかわらず、ドルの上昇は限定的でした。日本の長期金利の上昇もドル高への足かせになっている可能性があります。10年債利回りは昨日「0.675%」まで上昇し、9年7カ月ぶりの高水準を付け、連日で上値を更新しています。日銀が金利上昇を抑える動きを見せず、債券市場では「日銀の金利抑制スタンスが変わった可能性もある」といった声もあったようです。9月会合に向けた「出口戦略」の兆候と見てはうがち過ぎでしょうか。ドルの上値もやや重くなった印象ですが、まだドルが急落する環境ではないようです。
本日のドル円は144円~145円70銭程を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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