【為替本日の注目点】ドル円ジャクソンホールを前に一進一退
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ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
連日神経質な動きを見せるドル円は再び145円台後半まで上昇。株安、金利高の流れからドル円は145円96銭まで買われた。地区連銀総裁の発言も金利高につながりドル円を押し上げる。ユーロドルは景気の先行きに対する懸念もあり、小幅に続落。株式市場は前日の大幅高から一転して3指数が急落。大型ハイテク株が失速し、ナスダックは257ポイント下落。債券も反落。長期金利は4.23%台に上昇。金は小幅に反落し、原油は反発。
マーケット情報
新規失業保険申請件数 → 23.0万件
7月耐久財受注 → -5.2%
ドル/円 145.43 ~ 145.96
ユーロ/ドル 1.0805 ~ 1.0848
ユーロ/円 157.56 ~ 158.04
NYダウ -373.56 → 34,099.42ドル
GOLD -1.00 → 1,947.10ドル
WTI +0.16 → 79.05ドル
米10年国債 +0.045 → 4.237%
本日の注目イベント
日 8月東京都区部消費者物価指数
独 独4-6月期GDP(改定値)
独 独8月ifo景況感指数
米 8月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
米 パウエル議長、ジャクソンホールで講演
米 ラガルドECB総裁、ジャクソンホールで講演
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、インタビュー(ジャクソンホール)
米 メスター・クリーブランド連銀総裁、インタビュー(ジャクソンホール)
米 グールズビー・シカゴ連銀総裁講演、CNBCに出演
ドル円は再び146円手前まで反発し、本日のジャクソンホールでのパウエル議長の講演を前に、連日上へ下へと神経質な動きを見せています。基本的なレンジである144円台半ばから146円台半ばのどちらも抜け切れず、動きはあるものの、結局レンジ内で推移している状況です。
パウエル議長の講演を前にして、昨日は2人の地区連銀総裁の発言にも注意を促したところでしたが、やはり影響がありました。ボストン連銀のコリンズ総裁はヤフー・ファイナンスとのインタビューで、「需給が持続的なレベルで再調整された状況、インフレ率を2%に引き下げる軌道に戻すために必要となるそうした状況を確認するには一定の時間がかかるだろう」と述べ、「かなりの期間にわたって据え置く必要が生じる可能性は極めて高いと考えるが、ピーク金利が正確にどの水準かという点について現時点では示唆しない。近づいている可能性はあるが、さらにもう少し引き上げる必要があるかもしれない」と語っています。やはりこれまでの主張通り、「タカ派寄り」の発言を行いました。一方、今月8日にも「ハト派寄り」の発言を行ったハーカー・フィラデルフィア連銀総裁は、「現時点でわれわれは恐らく十分なことをした」と述べ、「景気抑制的なスタンスを取ってその効果が発揮されるのをしばらくの間見て、それによってインフレを押し下げるというのが私の立場だ」と話しています。市場は前者の発言により反応したようですが、この発言の方が今夜のパウエル議長の発言内容に近いのではないかと考えます。
トルコ中銀が昨日、政策金利を予想された以上大幅に引き上げました。エルカン総裁率いる金融政策委員会は、主要政策金利の1週間物レポ金利を「7.5%」引き上げ「25%」にすることを決定しました。予想以上の利上げを受けてリラ円は5円30銭前後から一時5円70銭台まで買われ、対ドルでも2%余り上昇しました。エルカン氏が中銀総裁に就任したことで、市場は大幅な利上げを予想していましたが、前回は予想を大きく下回る利上げ幅に終わり、リラが大きく売られました。新総裁に対する期待はあったものの、やはり「エルドアン大統領の意向には逆らえない」といった見方が広がっており、今回も小幅な利上げが予想されていました。トルコの7月の消費者物価指数は「47.83%」で、依然として政策金利を上回っていますがトルコ中銀は声明で、「ディスインフレ路線を早期に確立し、インフレ期待を安定させ、価格行動の悪化を抑制するため、金融引き締めプロセスを継続することを決定した」と説明しています。(ブルームバーグ)因みに、エルカン総裁は今年5月に経営破綻した米ファースト・リパブリック・バンクの共同CEOを歴任していました。
日本の7月の消費者物価指数(CPI)は、総合で「3.1%」、コアコアで「4.3%」と、前月よりは伸びが鈍化していたものの、これで総合では「11カ月連続の3%超え」を記録しており、日銀が目標とする「2%」が遠のく一方で、今後日銀が固執する「金融緩和政策」の維持に対する圧力が高まってきそうです。そのような状況の中、元日銀理事で現在東京財団政策研究所主席研究員の早川英男氏が8月24日付けの日経新聞「経済教室」に、「物価上振れリスク、高まる」と題した論文を掲載していました。早川氏は、「『日銀は、インフレ率は23年度後半には1%台に低下する』と繰り返すとともに、23年4月の『経済・物価情勢の展望(展望リポート)』では、23年度の物価上昇率は1.8%に低下するとしていた。だが筆者は以下のような理由で、こうした見方には疑問を抱いていた」として、その理由を3つ挙げています。その中で、日銀が主張する輸入インフレに加え、「人手不足に伴い賃金上昇が物価押し上げ要因として働き始めている」と指摘しています。その上で「物価高=輸入インフレ説に固執していると、21年秋まで高インフレを一時的なものとしてきたFRBの失敗の二の舞になる心配がある」と述べています。早川氏はブルームバーグにもこの様な主張を度々してきましたが、一考に値すると思います。日本のインフレの主要因も米国化して来たようです。
今夜のジャクソンホールでのパウエル議長の講演を巡って、市場が最も関心を寄せているのが、「9月以降の会合で追加利上げがあるのかどうか」という点です。そのヒントになるような発言を期待してはいますが、「期待倒れ」になる可能性もあります。「タカ派寄り」の発言を行いながらも、一方でこれまでの大幅な利上げの成果にも触れる可能性があるからです。自身の発言から「言質」を取られることを避けようとする可能性もあります。パウエル議長の他にも、ラガルドECB総裁の講演もあるようです。また植田日銀総裁も出席しますが、講演の予定は現時点では確認されていません。ただ討論会などに参加する可能性はありそうです。パウエル議長の他にも、FOMCメンバーのインタビュー等もあります。
本日のドル円は144円50銭~147円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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