【為替本日の注目点】ドル円147円台を回復
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は続伸。FRBのウォラー理事の発言に147円32銭までドルが買われ、およそ6週間ぶりのドル高を記録。ユーロドルも続落。1.0862まで売られる。株式市場は3指数が揃って下落する中、ダウの下げがきつい。積極的な利下げ観測が後退し、ダウは231ドル下げる。債券も大きく売られ、長期金利は4.05%台に上昇。金と原油は売られる。
1月NY連銀製造業景況指数 → -43.7
マーケット情報
ドル/円 146.31 ~ 147.32
ユーロ/ドル 1.0862 ~ 1.0898
ユーロ/円 159.32 ~ 160.13
NYダウ -231.86 → 37,361.12ドル
GOLD -21.40 → 2,030.20ドル
WTI -0.28 → 72.40ドル
米10年国債 +0.119 → 4.058%
本日の注目イベント
中 10-12月GDP
中 中国12月小売売上高
中 中国12月鉱工業生産
欧 ユーロ圏12月消費者物価指数(改定値)
欧 ECB総裁、WEFのセッションに参加
欧 米国務長官、仏大統領、WEFのセッションに参加
英 英12月消費者物価指数
米 12月小売売上高
米 12月輸入物価指数
米 12月輸出物価指数
米 12月鉱工業生産
米 12月設備稼働率
米 1月NAHB住宅市場指数
米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
米 バー・FRB副議長講演
米 ボウマン・FRB理事講演
米 企業決算 → アルコア
ドル円は昨年12月7日以来となる147円台を回復しています。FRBのウォラー理事の発言に市場は大きく反応し、米長期金利は10bpを超える上昇。ドル円は金利の上昇にサヤ寄せされる格好で147円32銭まで買われました。ほぼ6週間ぶりの円安水準です。
FRBのウォラー理事は16日、ブルッキングス研究所主催のオンラインイベントで講演を行い、「持続的な形で個人消費支出(PCE)インフレ2%達成が射程距離内にあると確信を強めつつある。インフレが再燃せず、高水準にとどまらない限り、FOMCはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを年内に引き下げることが可能になると、私は考えている」と発言しています。ここまではむしろ、今後予想される利下げを正当化する「ハト派」発言の意味合いかと思われましたが、続けて理事は「金利の引き下げを開始するのに適切な時期が来れば、秩序だって慎重に引き下げることが可能であり、そうすべきだ」と述べ、その上で、「経済活動と労働市場は良好な状態で、インフレ率は漸進的に2%へと低下しつつあることから、以前ほど急いだり迅速に利下げをしたりする理由が見当たらない」と指摘しています。(ブルームバーグ)理事の発言は具体的な内容で、利下げに対するオープンな姿勢を示したものの、市場が見込む年内6回の利下げについては「けん制」とも取れる発言で、最後の「以前ほど急いだり迅速に利下げをしたりする理由が見当たらない」といった部分に反応したようです。利下げに傾いている市場にとってはやや意外な内容だったかもしれませんが、これまでのFOMCメンバーの発言は総じて「タカ派寄り」であったことを考えると、やや過剰反応だったようにも思えます。
2024年最大のイベントである11月の米大統領選の幕が切って落とされました。野党共和党は厳寒の中アイオワ州で党員集会を開き、予想通りトランプ氏が圧勝しました。2位に付けたのは前国連大使のニッキー・ヘイリー氏ではなく、フロリダ州のデサンティス知事だったことは想定外でしたが、最も予想しやすい選挙結果でした。トランプ氏は51%の得票率で2位を圧倒しましたが、今回のアイオワ州の結果がそのまま、本選でバイデン候補を破るかどうかは不明です。今回の選挙は「民主主義そのものが問われる」選挙だとも言われ、トランプ氏が大統領選で勝利すれば、貿易、税制、公民権など多くの分野で政策が劇的に変わると、多くのメディアが報じています。2018-19年にトランプ政権で大統領補佐官だったジョン・ボルトン氏は自身の著書で、「トランプが大統領として返り咲いたら、取り返しのつかない事態になる。政治的信条がないからだ。彼は物事を損得勘定で考える。金銭的・政治的な意味で全てが個人的な『取引き』なのだ。合衆国憲法を尊重する気などみじんもない」と、トランプ氏を痛烈に批判しています。
米軍はイエメンの親イラン組織フーシ派を15日に攻撃しましたが、紅海ではギリシャ船籍の貨物船がミサイル攻撃を受けた模様です。ブルームバーグによると、フーシ派による攻撃が続いていることで、この海域を航行する船舶の保険料が高騰しているとのことです。「戦争リスク率はここ数週間で10倍以上に上昇し、船の価値の約1%になっている。つまり、1億ドルの価値のある船舶が紅海を航行するためには約100万ドル(約1億4700万円)を支払わなければならない」と伝えています。日本の石油の90%が中東から輸入されていることを考えると、今後インフレの再燃にもつながる可能性が懸念されます。
ドル円は昨日のコメントでも触れたように、「一目均衡表の雲」を抜けてきました。本日のドル円は146円30銭~148円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
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