【為替本日の注目点】FOMCでは年内1回の利下げを予想

為替

サーチナ

2024/6/13 10:17

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は5月の消費者物価指数(CPI)を受け155円73銭まで急落したが、FOMCのドットプロットを受け反発。156円台半ばで取引を終える。ユーロドルもCPI発表後1.08台半ばまで買われたが、その後ドルが買われたことで1.07台半ばまで水準を切り下げる。株式市場では前日同様、ダウは続落したものの、ナスダックとS&P500は大幅に続伸し最高値を更新。債券は反発。長期金利は4.31%台に低下。金は大きく反発。原油は3日続伸。

5月消費者物価指数 → 3.3%(前年比)

5月財政収支 → -347.1b

マーケット情報

ドル/円 155.73 ~ 157.34

ユーロ/ドル 1.0763 ~ 1.0852

ユーロ/円 168.72 ~ 169.58

NYダウ -36.21 → 38,712.21ドル

GOLD +28.20 → 2,354.80ドル

WTI +0.60 → 78.50ドル

米10年国債 -0.088 → 4.316%

本日の注目イベント

豪 豪5月雇用統計

欧 ユーロ圏4月鉱工業生産

欧 G7首脳会談(伊プーリア州、15日まで)

米 5月生産者物価指数

米 新規失業保険申請件数

米 ウィリアムズNY連銀総裁、イエレン財務長官と討論会

 CPIとFOMCの結果発表が重なるという珍しい1日でしたが、ざっくり言えばドル円はCPIで下げ、FOMCで反発した格好でした。5月のCPI発表前には157円台前半で推移していたドル円は、CPIが予想よりも下振れし、2カ月連続でインフレが抑制されていることが示唆されたことで155円台後半まで売られました。

 総合CPIは、前月比で「0.0%」と横ばい、前年比では「3.3%」と、ほぼ2年ぶりの低水準でした。食品とエネルギーを除いたコアでは、前月比で「0.2%」、前年比では「3.4%」と、いずれも市場予想を下回る結果でした。利下げのタイミングを探るFRBにとって、この結果は「朗報」とも言える内容だったと思われます。セントルイス連銀の前総裁であるブラード氏はこの結果を踏まえ、「FOMCには朗報だと思う。待望の弱い数字が出てきたのだから。金融緩和を進めていくには、この方向のニュースがさらに続く必要があるだろう」と述べ、「しかしながら、早い時期の利下げを望んでいた向きには、希望をつなぐ統計である」と、ブルームバーグ・テレビジョンで話していました。

 ところが、日本時間今朝方行われたFOMCと、その後のドットプロット、パウエル議長の発言では、ややタカ派的な印象もあり、ドル円はこの日の底値から1円ほど水準を戻しましたが、それでもCPI発表直前の水準は回復できていません。FOMCでは予想通り政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを5.25-5.50%に据え置き、これで7会合連続の据え置きとなりました。声明文では、「最近の複数の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大を続けていることを示唆している。雇用の伸びは強さを維持しており、失業率は低いままだ。インフレはこの1年で緩和したが、依然として高い水準にある。委員会は目標実現のため、FF金利誘導目標レンジを5.25-5.5%に据え置くことを決めた。委員会はインフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている」とパウエル議長が読み上げていました。

 また、パウエル議長はFOMC後の会見で、「最近のインフレ指標は今年の早い時期より良好な内容で、われわれのインフレ目標に向けて緩慢なる一段の進展が見られている」と発言。さらに、「インフレ率が持続的に2%に向っているという確信を強めるには、良好なデータをさらに目にする必要がある」と述べています。注目されていたメンバーによる金利予測分布図(ドットプロット)では、今年末の金利水準の見方は分かれており、それによると年内の利下げ回数は「4人がゼロ、7人が1回、8人が2回」と予想していることになります。前回は3回の利下げが予想されていたことから、この結果はややタカ派的と言えますが、パウエル議長は、「今回の統計が確信を強める上では前進と言えるが、現時点での利下げを正当化するほどではない」と説明しています。

 FOMCではややタカ派の結果でしたが、2カ月連続でCPIが落ち着きを見せたことは、今後インフレ率が落ち着き、鈍化傾向を示す可能性が高まってきたように思います。ドル円は、日足チャートでは依然としてこれまでにも指摘している「サポートライン」が機能しており、依然として相場がそのラインに沿って上昇してないことを表していますが、一方で短期的には「三角保ち合い」(さんかく持ち合い)を形成しつつあるのも事実です。今夜も重要指標である5月の生産者物価指数(PPI)が発表されます。ここでもインフレが鈍化していることが確認できれば、ひょっとするとドル円は再び155円台半ばを試す可能性があるかもしれません。現時点で言えば、ドルの上値のリスクは限定的で、下値のリスクの方が高いと見ています。

 本日のドル円は155円50銭~157円30銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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