<中原圭介の相場観>今は1年に1回あるかないかの買いのチャンス

コラム

2020/3/6 17:31

下げのクライマックスは近い

 日本株がたった2週間で急激な下げに見舞われている。日経平均株価は2月25日に2万3000円、27日には2万2000円を下回り、3月2日には2万1000円を割り込んでいる。

 知人の著名なファンドマネジャーは日経平均が2万3000円を割り込んだ時、「今は第1波にすぎない。第2波~第3波が来たら絶好の買い場になる」と、むしろ株価の下落を前向きにとらえているようだった。

 私もまったくの同感だった。3月初めの時点で2万1000円にタッチした局面が「第2波」であったと認識している。2万円前後まで下げる「第3波」があるかどうかはわ分からないが、あるという前提で対処した方が無難だと思っている。

マーケットは新しいステージへ

 米国でも新型コロナウイルスの感染が拡大している。カリフォルニア州では非常事態宣言が出された。中国からの全面渡航禁止など、いち早く対応策を講じてきただけに、米国のショックは大きい。

 マーケットの世界では「FRB(米連邦準備制度理事会)に逆らうな」という鉄則があるが、米国の感染拡大が進めば今回はその鉄則も通用しないだろう。金融政策だけでは消費の落ち込みを回避できないからだ。

 これまでは、「日本や中国の感染拡大がいつ終息するのか」が注目を集めていた。しかし今では、「米国で感染拡大が抑え込めるのか」に焦点が移ってしまった。世界が景気後退を意識し始めている。

PBRは10年に1度か2度の水準に

 日経平均は3月5日までPBR(株価純資産倍率)1倍の水準(2万800円台)でダブルボトムを形成しているように見えたが、6日にはあっさり割り込んできた。

 PBRが1倍を割り込むのは、東日本大震災(2011年3月)の0.96倍、リーマン・ショック期(2009年3月)の0.81倍以来だ。10年に1度か2度の水準に来ているのは間違いない。

セリングクライマックスは買い

 近年のボックストレンド相場では、今回の下げは1年に1回あるかないかのチャンスだ。

 今の暴力的な下げ相場では、どんな個別株でも必要以上に売られるのが常だ。当然のことながら、大型株より中小型株、東証1部より新興市場の方が売られる傾向が強い。

 久しぶりのセリングクライマックスの局面では、否が応でも投資妙味が高まっていく。意地悪な言い方かもしれないが、信用取引をしている個人投資家が追い証(追加証拠金)に伴う換金売りをせざるを得ない時こそが、買いのパフォーマンスが最も上がりやすいからだ。

 失敗してもリスクが低いので、個々で損切りラインを決めて臨んでもらいたい。

(アセットベストパートナーズ 中原圭介)

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ