海外株式見通し=米国、香港
【米国株】金融政策と景気・株価をめぐる4つのサイクル
金融緩和・引き締めと景気・株価の相関では、以下の4つのサイクルが重要だ。
(1)不景気で企業業績が悪化すると政府が景気対策等を講じ、中央銀行が政策金利を下げる金融緩和を行うことで金余りを背景に株価が上昇する「金融相場」。
(2)金融緩和の効果で企業業績が回復しはじめ景気や企業業績の上昇で株式が買われる「業績相場」。
(3)景気が拡大し過ぎてインフレになることを抑制し、物価安定のために金融引き締めによって金利を高めに設定する「逆金融相場」。
(4)金融引き締めにより景気が下降し、企業業績が悪化するサイクルの後半となる「逆業績相場」。
そして、「逆業績相場」の次は(1)の「金融相場」に戻っていくとされる。
2020年以降を振り返ると、新型コロナ感染拡大を受けてFRB(米連邦準備制度理事会)が同年3月以降の強力な金融緩和措置で(1)の「金融相場」がもたらされた。その後、同年11月の大統領選を契機に、(2)の「業績相場」に移行し、さらに今年3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ以降、(3)の「逆金融相場」へと移行して現在に至るとみることができよう。この逆金融相場の時期は、投資家の資金は債券など固定金利の金融商品に流れる傾向がある。16日の米債券相場終値の利回りは、10年国債が3.455%、5年国債が3.636%であるのに対し、平均期待インフレ率を表すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、10年が2.385%、5年が2.554%にとどまる。
(4)の「逆業績相場」では、長期金利低下に伴って業績が景気と連動しにくいディフェンシブ銘柄が買われやすい。医薬品・バイオは新型コロナ禍の落ち着きとともに臨床試験が進むようになり、FDA(米食品医薬品局)の新薬承認が相次いでいる。また、「業績相場」において長期金利上昇によって21年内にいち早く過去最高値を付けて大幅に下落したグロース(成長)企業の中には、迅速な経営戦略転換を図る動きも見られる。
【香港株】台湾資本の中国食品・飲料品メーカーに注視
香港株式市場フラッシュ22年8月10日号「日本企業と関係が深い中国大手食品メーカー2社」として、中国旺旺集団[ワンワン・ホールディングス](151/HK)と康師傳・カンシーフ(322/HK)の2社を取り上げた。両社ともに台湾資本である中、もう1社、中国で事業を展開する台湾資本の大手食品メーカーとして統一企業中国控股[ユニ・プレジデント・チャイナ](220/HK)がある。
統一企業グループは台湾の食品製造・食品加工・流通・小売りなどのグループ企業で台湾国内の食品関連・流通企業では最大手。グループ会社の統一超商(台湾セブン―イレブン)は00年に米国セブン―イレブンから永久ライセンスを取得して21年末時点で約6400店舗のセブン―イレブン・ブランドのコンビニエンス・ストアを台湾で展開している。台湾のプロ野球(中華職業棒球大聯盟)チームである「統一ライオンズ」も保有する。
統一企業中国控股は、中国本土の果汁飲料、即席めん事業などを展開し、飲料では果汁飲料の「鮮橙多」、茶飲料の「統一緑茶」、ボトルウォーターの「ALKAQUA」など、即席めんでは「湯達人」「満漢大餐」「藤嬌」などのブランドを取り扱っている。中国市場でのシェアは、即席めんでは康師傳に次いで2位、また、飲料市場では首位のコカコーラに次ぐ2位の座を康師傳や中国旺旺集団と争っている格好だ。
22年1~6月決算は、売上高が前年同期比7.2%増の139.39億元、営業利益が同30.9%減の7.31億元。売上構成比の59%を占める飲料部門が同4.9%増収、売上構成比39%を占める食品部門が同14.0%増収であるが、食品部門は営業赤字が前年同期から拡大しており、利益面では飲料部門に頼っている状況だ。康師傳や中国旺旺集団も飲料部門の全体の業績への寄与度が高まる傾向にあり、今後は飲料部門の競争激化が想定されよう。
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(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)
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(写真:123RF)
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