株式新聞・相場アンケート、23年見通し「日経平均3万円」が30%

 株式新聞Webでは2022年12月中~下旬にかけて23年の相場見通しアンケートを実施した(23日締め切り)。今回は48人の市場関係者から有効回答を得た。日経平均株価の高値予想は3万円が最多で、最高値は3万6000円(1人)、平均は約3万1500円。安値の最多は2万5000円で、例年通り年末高を見込む向きが優勢だ。FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げが継続し、世界景気に逆風が吹く前半に対し、後半には金融引き締めが一巡して経済回復への期待を織り込むシナリオを描く。一方で、日銀の政策転換や円高進行への警戒も強い。

米利上げと景気動向にらむ、3月安値・12月高値か

 22年はロシアのウクライナ侵攻で拍車が掛かった世界的なインフレを背景に、FRBが利上げ路線をまい進した。特に11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)までの4会合における引き上げ幅はいずれも0.75%となり、米10年債利回りは一時4.24%まで上昇(21年末は1.51%)。グロース(成長)株を中心に、株式市場には激震が走り、日経平均の年末終値は2万6094円(21年末比9%安)と4年ぶりに下落した。日米の金利差拡大を手掛かりにドル・円は一時1990年以来の150円台まで上昇した。

 こうした中、アンケートの回答者の見方は23年も序盤にかけては慎重な傾向が強い。安値時期については3月が最多で、次いで1月が多い(各15人、9人)。グローバル経済の減速懸念が強まる中で、「アナリストの企業業績予想が、3月本決算へ向けて下方修正されやすくなりそうだ」(国内準大手証券のチーフストラテジスト)。日経平均の安値を2万5000円とした回答者は16人(有効回答の33%)で、2万6000円も9人(19%)と多かった。

 カギを握るFRBの政策金利については、最終到達点を5.25%とした回答が最も多く、5~5.25%の水準を計29人(有効回答の66%)がターゲットにしている。ピーク時期については5月が最多で、より早い3月がこれに続いた。23年末時点については最多の4.75~5%のレンジが3分の1程度を占めた(平均4.7%)。

岐路に立つ日銀、金融政策を注視

 国内大手証券のグローバルストラテジストは日本株の安値を1月と予想し、その後は「FRBの金融引き締め策の転換への期待から春にかけ上昇、年央までに実際に利上げが停止された後は、米景気後退に伴いボックス圏で推移する」と読む。そして、「年後半は利下げと景気回復期待を追い風に株価は再浮上する」として12月高値を視野に入れている。

 ネット系証券のチーフストラテジストは、日経平均の予想1株利益を2400円とし、これに過去10年の平均PER(15倍)を掛けて日経平均の高値を3万6000円とはじいた。FRBの利上げ停止から利下げへの移行を念頭に、年後半の金融相場を展望している。

 一方、来年4月には日銀の黒田総裁の任期を迎え、新総裁が就任する見通し。直近の金融政策決定会合ではYCC(=イールドカーブコントロール、長短金利操作)における長期金利の許容変動幅が引き上げられたが、「新総裁体制でも大規模緩和の修正が継続されるだろう」(銀行系証券のマーケットストラテジスト)という声が聞かれた。日本の金融政策をめぐる不透明感が高まることへの不安が、相場の下押し要因になる可能性がある。

 もっとも、これに関しては「ゼロ金利で硬直していた日本経済が動きだす」(独立系のマーケットアナリスト)や「業績相場への移行期待につながる」(国内系証券の調査部門長)といった前向きなとらえ方もあった。

1ドル=125~140円、原油80ドル最多

 日経平均の高値予想は3万円が有効回答の31%(15人)で、次いで3万4000円、3万2000円が同数の6人(13%)。また、2万9000円が上値とみる保守的な回答者も5人(10%)いた。米国市場については、NYダウの高値3万6000ドル、安値3万ドルがそれぞれ最多となった。

 このほか、ドル・円は上限が1ドル140~144円に集中(140円が18人、有効回答の39%)し、次いで135~139円の価格帯が多かった(135円が5人)。下限は120円台が主流で、125~129円が計19人(125円が14人)、120~124円が計13人(120円が11人)だ。年平均では130円とする予想が最も多く、コンセンサスは130.9円。原油価格はWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で1バレル=80ドルが10人と最多で、平均は約74ドルとなった。

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(写真:123RF)

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