【為替本日の注目点】ドル円NYでは144円台に

為替

サーチナ

2023/6/28 10:18

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 欧州市場ではドルが売られ、NYでは143円台前半で取引が始まったドル円は144円台まで続伸。消費者マインドなどの経済指標が上振れ、株価も上昇したことでリスクオンとなり144円18銭まで円安が進行。ユーロドルは続伸し、1.0977まで買われる。ラガルドECB総裁が7月会合での利上げに言及したことがユーロ買いを支援。ユーロは対円でも157円94銭前後まで上昇。株式市場は3指数が久しぶりに揃って上昇。米景気は想定よりも堅調だとの見方が支えに。債券は反落。長期金利は3.76%台に上昇。金と原油は揃って反落。

マーケット情報

米 5月耐久財受注 → 1.7%

米 4月ケース・シラ-住宅価格指数 → -1.70%

米 4月FHFA住宅価格指数 → 0.7%

米 5月新築住宅販売件数 → 76.3万戸

米 6月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 109.7

米 6月リッチモンド連銀製造業景況指数 → -7

ドル/円 143.30 ~ 144.18

ユーロ/ドル 1.0943 ~ 1.0977

ユーロ/円 157.01 ~ 157.94

NYダウ +212.03 → 33,926.74ドル

GOLD -10.00 → 1,923.80ドル

WTI -1.67 → 67.70ドル

米10年国債 +0.043 → 3.764%

本日の注目イベント

豪 5月消費者物価指数

独 7月GFK消費者信頼調査

欧 ECBフォーラム最終日、日銀総裁、FRB議長、ECB総裁、BOE総裁がパネル討論会に参加

 ドル円はジリジリと上昇し、「口先介入」をあざ笑うかのように円安が進んでいます。昨日は欧州市場ではドル売りが勝り、143円台前半まで下げましたが、NYでは一転切り返してドル買いが旺盛となり、144円18銭前後までドルが買われました。コンファレンスボードが発表した6月の消費者マインドが大きく改善するなど、この日発表された経済指標が概ね米景気の底堅さを示しており、7月会合での利上げ観測の高まりがドルを押し上げる結果となっています。この状況は、本来なら株価が売られる材料でしたが、先週から株価は大きく売られていたことや、「米景気は思ったほど悪くない」といった見方から、NY株式市場では3指数が揃って上昇しました。「あばたもえくぼ」といったところでしょうか。

 さらにこの日はラガルドECB総裁の発言も円売りに作用したと思われます。ラガルド氏は27日、ポルトガルのシントラで開催中のECB年次フォーラムの基調講演で、「ECBが近い将来に完全な自信を持ってピーク金利に達したと宣言できる可能性は低い」とし「見通しの大きな変化がない限り、7月も利上げを続ける」と発言しています。ラガルド氏は、これまでも7月利上げの可能性は示唆していましたが、今回は明確に「7月も利上げを続ける」と言い切っています。ただECB内部では意見の対立もみられます。リトアニアのシムカス総裁も「9月も利上げを続けたとしても驚かない」と述べています。

 一方ベルギー中銀のウンシュ総裁は、「現時点から9月会合までに発表される3回のインフレ統計で、コアインフレが毎回低下した場合のみECBは9月に利上げを停止すべきだ」と、中間的な意見を述べています。昨日には発言はありませんでしたが、ドイツ、オランダ、オーストリアなどの中銀総裁はかなり「タカ派色」の強い発言を繰り返しています。ECB年次フォーラムは今日最終日で、ここではECB以外の3主要中銀も参加してパネル討論が予定されています。日銀以外の中銀は言うまでもなく、インフレを阻止するため今後も利上げが必要との立場を維持していますが、わが日銀は全く逆のスタンスです。ここであらためて4中銀の金融政策スタンスの違いが意識されるようだと、円がさらに売られる可能性があります。もっとも、ここで植田総裁が「サプライズ発言」を行えば、話は別ですが。

 連日ニュースで取り上げられている、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」のブリゴジン氏はベラルーシに到着したことが確認されているようですが、プーチン氏は昨日、大統領府のあるクレムリンで2500人の軍人を集めて演説を行いました。プーチン氏はこれまでブリゴジン氏を「裏切り者」と呼んでいましたが、この演説では同氏に対する言及を避け、内戦を防いだロシア軍を称賛し、「反乱は西側諸国の陰謀だ」と結論づけています。ベラルーシに身を寄せたブリゴジン氏が今後どのような扱いを受けるのかは不明ですが、多くの専門家は一様に、「今回の反乱はプーチン氏にとってかなりのダメージだった」と論じています。

 バークレーズ証券は27日「トリレンマの円」と題したレポートを出しています。レポートでは、「国際金融のトリレンマは2022年度初と同様、今回の円安局面においても有効だ。日銀が賃金・インフレ動態が改善するなかでも、硬直的なYCCに固執する限り、過度な変動を伴う円安圧力は解消しない」としながらも、今回公表された6月の金融政策決定会合の「主な意見」では、一部審議委員が、『企業の価格転嫁の動きは一段と強まっているほか、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の回復もあり当面物価上昇圧力に強い状況が続く』、『基調的なインフレ率を示す各種指標も、軒並み2%を超えてきている』といった意見があったことを紹介し、「潮目の変化がみられ始めている」としています。筆者も26日の「今週のレンジ予想」では、26日に公表された「日銀金融政策決定会合における主な意見(6月15、16分)」の内容に触れています。(参照:6月26日付け同コメント)

 本日のドル円は142円80銭~144円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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