RBA、政策金利据え置き―市場予想通りも声明文はタカ派寄りと

経済

2024/6/18 15:31

<チェックポイント>

●インフレの物価目標達成のために必要なことを行なうと

●総裁、「インフレの見通しに大きな不確実性」

●市場、利下げ開始は年後半以降を予想―利上げの可能性も排除せず

 豪準備銀行(RBA、中銀)は18日の理事会で、政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR、銀行間取引で使われる翌日物貸出金利)の誘導目標を4.35%に据え置くことを決めた。据え置きは5会合連続。

 市中銀行のRBAへの預入残高である為替決済(ES)バランス(銀行間決済口座)に適用される公定レートも4.25%に据え置いた。

 据え置きは市場予想通りだったが、声明文では、インフレ率が高止まりしている点に懸念を表明。「インフレを目標に戻すことが優先事項だ」とした上で、「インフレが妥当な時間内で物価目標に戻ることを確実にするための金利の道筋は依然、不確実であり、RBAは経済データと(景気やインフレの見通しに対する)リスクの動向に依存、何かを決定することも否定することもしない」との文言を残したうえで、「インフレを物価目標に戻すという固い決意を持ち続けており、その結果を達成するため、必要なことを行う」との文言を追加した。

 市場では、ややタカ派寄りと受け止め、RBA理事会の結果を受け、豪債券利回りはやや上昇し、豪ドルも対主要通貨で買いが優勢となった。

 RBAのブロック総裁は足元のインフレ高止まりについて、経済の需要過多が続いていることや、国内コスト圧力の高まりを示しているほか、労働需給がタイトであり、賃金の伸びも持続可能な水準を上回っていると指摘。前回会合時と同様、「インフレの見通しには大きな不確実性がある」とした。

 ブロック総裁は今後の金融政策について、前回5月会合時と同様、「国内では、金融政策の効果の遅れや、雇用市場が依然としてひっ迫している中、企業の価格決定や賃金がどのように対応するかについて不確実性がある」とし、過去の累積的な利上げのインフレ抑制効果を引き続き見守りたい考えを示している。

 RBAは今回の声明文において、2月会合で使った「さらなる金利上昇の可能性は排除できない」との強いタカ派姿勢の文言を復活させなかったが、市場ではRBAが引き続き利上げを選択肢の1つとして含めているとみられている。

 市場では、RBAがインフレ高止まりの長期化で、インフレ率が物価目標に戻るのを25年後半になると予想していることから、目先はタカ派的な姿勢を維持し、FRB(米連邦準備制度理事会)と同様に利下げを急がない戦略をとると見ている。

 ブロック総裁もインフレ率が持続的に2-3%上昇の物価目標に向かって収束すると確信できるまで待つ必要があると述べているため、市場では利上げの選択肢も検討する可能性があり、利下げ開始は早くて年内後半以降、25年初めになると予想している。短期金融市場は12月までに利下げ確率を40%弱とし、会合前の50%から低下した。

 次回会合は8月5-6日に開かれる予定。

提供:ウエルスアドバイザー社

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