【為替本日の注目点】ドル円20日ぶりに154円台にまで下落

為替

サーチナ

2024/6/5 10:30

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は大幅続落。米求人件数の鈍化を受け米金利が低下。ドル売りが強まりドル円は154円55銭まで売られる。ユーロドルは小動き。1.08台で推移し、ドル安には無反応。ユーロ円は168円前後まで下落。株式市場では金利が低下したことで3指数が揃って上昇。ただ上昇幅は小幅にとどまりS&P500は8ポイント高。債券は4日続伸。長期金利は4.32%台まで低下。金は反落し、原油は5日続落。

4月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 → 805.9万件

4月製造業受注 → 0.7%

マーケット情報

ドル/円 154.55 ~ 155.25

ユーロ/ドル 1.0862 ~ 1.0887

ユーロ/円 168.00 ~ 168.69

NYダウ +140.26 → 38,711.29ドル

GOLD -21.90 → 2,347.40ドル

WTI -0.97 → 73.25ドル

米10年国債 -0.062 → 4.326%

本日の注目イベント

豪 豪1-3月期GDP

中 5月財新サービスPMI

中 5月財新コンポジットPMI

独 独5月サービス業PMI(改定値)

欧 ユーロ圏5月総合PMI(改定値)

欧 ユーロ圏5月サービスPMI(改定値)

欧 ユーロ圏4月卸売物価指数

欧 バイデン大統領、フランス訪問(9日まで)

米 5月ADP雇用者数

米 5月ISM非製造業景況指数

米 5月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)

米 5月S&Pグローバル総合PMI(改定値)

加 カナダ中銀政策金利発表

 ドル円の動きにやや変化が出てきた可能性もあり、注意が必要です。昨日のNYではドル円が続落し、5月16日以来となる154円55銭まで売られました。4月29日に160円台までドル高が進み、政府・日銀による市場介入を誘い出して以来、160円台には一度も届かず反落して来ました。

 それもそのはず、米景気の減速を示唆する指標が相次いで出たことで、「年内の利下げ開始は可能」との見方が強まり、米長期金利が急低下。ドル売りを炙り出す形になっています。米長期金利は先週一時4.63%前後まで上昇しましたが、昨日は4.32%台まで低下しています。前日のISM製造業景況指数の下振れに続き、4月のJOLTS(求人件数)がおよそ3年ぶりの低水準だったことが影響しました。4月のJOLTSは「805万9000件」と、市場予想の「835万件」を大きく下回っていました。求人件数の減少は広範囲にわたって見られ、「医療では3年ぶりの低水準。製造業では2020年12月以来の低水準で、政府部門も減少していた。また、宿泊・飲料サービスでも減少し、これはカリフォルニア州での最低賃金引き上げを反映している可能性がある。同分野での雇用の水準は新型コロナウイルスがパンデミックとなって以来の低さだった」(ブルームバーグ)

 今回の求人件数の減少は、4月の雇用統計の結果と整合するものとなり、好調だった労働市場にも景気抑制的政策の効果が表れて来た可能性もあります。政策金利の高止まりが続き、経営者は求人に二の足を踏んでいて、今後の経営にはやや戸惑いも感じている姿もイメージできそうです。こうなると今週末の「5月の雇用統計」がますます注目されます。4月に続いて5月も下振れするようだと、市場は「傾向として」労働市場の減速を意識することになり、ポジションの解消を含めドル売りを加速させることも想定されます。加えて、個人消費の伸びの鈍化も意識され始めており、これまで「驚くほど好調な」米景気をけん引してきた「2大要因」が崩れることにもなります。

 それでもまだ「ドルの上昇トレンド」が変わったわけではありません。今回の下落で、日足では、昨日もこの欄で触れた「サポートライン」に接近して来たところです。この「サポートライン」は昨年12月28日を起点として描いていますが、ほぼ半年間ローソク足がこの線を下回ったことはありません。それほど強い「サポートライン」であることが理解でき、この間2回ラインブレイクを試みましたが跳ね返されています。今回が「三度目の正直」になるのかどうか極めて重要であり、大きなポイントになります。

 日本の長期金利は先週約13年ぶりに1.1%まで上昇し、円が買い戻されやすい状況にはなって来ましたが、思ったほど円買いは進んでいません。ただ、上述のように米金利が低下してきたことを考えれば、円金利の動きも相場にはこれまで以上に影響して来ると思われます。ブルームバーグは関係者への取材で分かったとして、「日銀は早ければ来週開く金融政策決定会合で、長期国債の買い入れの減額について具体的な方針を示すことの是非を含めて、議論される可能性が大きい」と伝えています。国債買い入れ額の減額は金利の上昇を意味し、それほど大幅な上昇はないとしても注意は必要です。また9月の日銀会合では「利上げの可能性がある」ことも市場では織り込みつつあります。

 バイデン大統領を始め、米国からの圧力もものともせず、パレスチナ自治区ガザ南部ラファへの攻撃の手を緩めないイスラエルのネタニヤフ首相ですが、バイデン大統領もここに来てようやく「米国の意のままにはならない」ことを意識したのか、ネタニヤフ氏に戦争長期化の意図があるとの見方に理解を示す発言を行っています。バイデン氏は米誌「タイムズ」とのインタビューで、ネタニヤフ氏の政治的思惑が戦争の動機になっているのかどうかを問われ、「人々がそうした結論を導き出すあらゆる根拠がある」と指摘し、「イスラエルとイスラム組織ハマスとの紛争に先立ち、ネタニヤフ氏がイスラエルの憲法改正を推し進めたことで、国内の反発を招いた」ことを挙げていました。

 本日のドル円は154円50銭~156円程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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