株式新聞・相場アンケート、22年日経平均高値は3万3000円最多

 株式新聞Webが2021年12月中~下旬にかけて実施した22年の相場見通しアンケート(24日締め切り)では、日経平均株価の高値は3万3000円台が最多となった。ただ、経済再開に伴う企業業績の回復期待がある一方で、世界で猛威を振るう新型コロナウイルスや、米国の金融政策の転換の影響を慎重にみる向きも少なくない。

経済再開期待と米利上げへの警戒感

 21年の日経平均は30日の大納会の終値が2万8791円となり、20年末の2万7444円を上回った。前年比のプラスは3年連続。一方、上昇幅は1347円とコロナ・ショック後に急伸した20年(3787円)からは縮小した。長期化するコロナ禍や変異株オミクロンの出現、インフレを背景とするFRB(米連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的金融緩和の縮小)加速や利上げ観測が上値を抑えた。

 こうした中で迎える22年。アンケートは49人の市場関係者から回答を得た。それによれば日経平均の高値予想は3万3000円台が最多の計13人となり、全体のおよそ4分の1を占めた。次いで3万1000円台が10人と多く、3万1000~3万3000円台に約6割が集中している。

 3万3000円台のうち、3万3000円ちょうどは11人で、3万3500円以上3万4000円未満が2人いた。コロナ後の経済正常化への期待を重視するスタンスが目立ち、「PERの拡大が見込みにくい中でも、企業業績の利益の伸びに相応な株価上昇が予想される」(国内投信)、「サプライチェーンの混乱の緩和が年央にかけて強まる」(銀行系証券)とみている。

 一方、これよりもやや慎重な3万1000円勢は、「日本企業の収益力回復が再評価されるが、一方で(FRBの利上げによる)米国市場の変調に影響を受ける」(準大手証券の投資情報部)、「利上げがありそうな夏場は調整しそう」(中堅証券)と米国の金融政策に注意を払う見方が多い。

 安値は2万7000円台が4割と多く、うち2万7000円ちょうどは14人となった。これは21年の最安値(終値ベースで2万7013円)に相当する。ただ、2万6000円台との回答も5件、2万5000円台も4件あった。「1~4月にかけて米国の金融政策への警戒感から大きく下落する」(テクニカルアナリスト)と警鐘を鳴らす向きがある。

(図表(1)参照、右上の画像クリックで拡大)

日本株の出遅れ修正は?

 22年のFRBの利上げについて、市場関係者の多くも20年12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で見通された0.75ポイント(3回)を想定している(回数3回は24人、幅0.75ポイントは21人)。ただ、2回にとどまるとみる回答も13人と多く、1回も4人と一定数あった。逆に5回以上というインフレ加速予想も2人いる。

(図表(3)参照、右上の画像クリックで拡大)

 日経平均の高値時期については例年通り12月が23人と最も多く、次点の5月(7人)に大差を付けた。安値は1月が15人で最多。「長期の配当成長率7%を軸に、巡航速度で上昇する」(国内投信)との意見があった。1~3月の安値形成は計25人(レンジ予想含む)となった。もっとも、FRBの利上げ時期(6月が最多の26人)や国内の参院選(7月)を視野に、4~9月のいずれかに安値を付けると想定する向きも計19人(最多は8月で6人)いる。

(図表(2)参照、右上の画像クリックで拡大)

 なお、日経平均予想の最高値は4万円(1人)で、これを筆頭に3万8000円、3万7000円が各1人、3万5000円台も5人となった。超強気派からはコロナ終息への期待に加えて、「日本株の(外国株に対する)キャッチアップと米株堅調」(独立系リサーチ会社代表)、「22年の日本株は出遅れの修正が一つのテーマとなりそう」(国内大手証券)といった理由が挙がった。

 一方、極端に弱気な予想は少なく、2万5000円未満は3人にとどまった(最低値は2万1000円)。その中には、「グローバルなインフレの波がFRBの利上げを急がせ、日本にも波及して日銀が(22年中に)緩和の縮小もしくは引き締めに移行する」という見立てがあった。

リスクはインフレと米金融政策

 22年のリスクファクターについての質問の回答(複数可)はインフレや米国の金融政策が計27件とトップだった。2位はやはり新型コロナ関係が計14件あり、さらにこれに匹敵したのは金融所得課税の強化など岸田政権による増税(12件)だった。中国経済や米中対立の深刻化、米中間選挙に警戒する向きも多い。

(図表(4)参照、右上の画像クリックで拡大)

 NYダウの予想は高値3万7000ドル台(計11人)、安値3万3000ドル台(同)がそれぞれ最多となり、形成時期は高値が12月(15人)、安値が1月(8人)となった。また、日経平均の30日終値とNYダウの29日終値を基準にした22年高値時点の上昇率について、日経平均がNYダウを10ポイント以上上回る回答は3割超の14件(日米比較が有効な全回答数は41件)だった。

(図表(5)、(6)参照、右の画像クリックで拡大)

【21年検証】

 21年の日経平均の高値は3万670円(終値ベース)だった。20年の相場見通しアンケートの最多回答は3万円ちょうど(14人)で、3万500~3万999円の間を予想した向きも3人いた。「的中」といっていいだろう。一方で安値の2万7013円に近い「2万7000円以上」はわずか1人だった。集中していたのは2万4000円(11人)や2万5000円(9人)で、市場関係者の想定よりも相場は底堅かった。また、年初安・年末高の見通しは外れている(実際は高値9月・安値8月)。

※右の画像クリックでグラフ、表拡大

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